各政党生物多様性アンケート回答

各政党に大阪における生物多様性保全についてお聞きしました。

これまでの環境問題に関する貴党の取り組みについては感謝しております。今回の地方選挙にあたって、生物多様性への取り組みについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。お忙しいところ恐縮ですが、次の2点について3月23日までにA4判1枚以下にまとめてご回答ください。回答は、当協会のホームページで公開するとともに、会報誌に同封して会員などに送付する予定です。

(1)  日本も参加している生物多様性条約COP15では劣化した生態系の30%を再生するという目標が掲げられました。大阪府としては既存の市街地を自然に帰すことは困難で、未利用地である夢洲で自然再生することが現実的かと考えます。夢洲はシギ・チドリ類をはじめとして豊かな自然に恵まれていたことが当協会の調査や2025万博の環境影響評価書によって報告されています。夢洲の土地の30%を湿地や干潟として自然再生することを公約として掲げていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。ご意見をお聞かせ下さい。

 (2)  上記のCOP15や次期生物多様性国家戦略では、生物多様性をこれ以上損失させないだけでなく回復させるネイチャーポジティブが掲げられています。大阪府地域戦略に基づき、具体的にどのような施策がよいとお考えでしょうか。ご意見をお聞かせ下さい。

返信はいただいた順番に、以下に掲載しています。
1,大阪維新の会 (3/22,22:35 FAX)
2,立憲民主党 (3/23,13:15 メール)
3,日本共産党 (3/27, 12:09 メール)新着
4,自民党 (3/27,17:00 FAX)  新着
5,公明党 (3/28,13:44 メール)新着

大阪維新の会

(1)夢洲の土地利用に関しては、「夢洲まちづくり構想」、「夢洲まちづくり基本計画」等に従い整備を進めることになっているため、夢洲の土地の30%を湿地や干潟として自然再生することを公約とすることは困難であると考えています。もちろん夢洲における生態系の保全の必要性については理解しており、東京の葛西海浜公園、博多港東部の名島海岸等の事例を参考にしつつ、対岸にあたる矢倉海岸や淀川河川敷での干潟再生などの取り組みを進め、生態系の保全に努めていきたいと考えております。

(2)生物多様性の保全・回復については、2022年3月に策定された「大阪府生物多様性戦略」を適宜進めていくことが重要であると考えており、同戦略で掲げられている3つの取組み方針、すなわち「生物多様性の理解と生物多様性に資する行動の促進」、「自然資本の持続可能な利用、維持・充実」、「生物多様性保全に資する仕組みづくりの推進」及び「都市・地球環境問題に対する取組み」に従い策定された94項目の具体的計画内容を、様々な利害関係者を巻き込み進めていくことが肝要であると考えます。大阪府の強み・資源を活かしながら、具体的施策を推進し、生物多様性の確保・回復の強化や拡充を図っていきたいと考えております。

立憲民主党

(1)夢洲が鳥類などの貴重な生息地になっているということは認識しております。
 また、これまでも府議会内外において、カジノIRや万博などでの夢洲の拙速な開発には反対してまいりました。
 東南海地震・津波の危険も考えると、夢洲地区に大量の昼間人口が発生するような開発は現実的ではないと考えていますし、もちろん住宅開発にはさらに不適でしょう。
 それよりも、自然保護と防災の観点から、現状の自然を活かした開発を行なっていくべきかと思います。

 例えば、すでにあるコンテナターミナルの拡張や、再生可能エネルギーの発電施設として夢洲を発展させることは、現状の生物多様性の保護と両立させながら行なっていけることかと思いますし、それは今後世界中で行わなければいけない新しい形の開発計画の実証実験という意味を持たせることも可能かと思います。

 その際には、自然保護や生態系の専門家の助言が必須となることも承知しておりますので、今後ともご意見賜れれば、そういった知見と府の行政をつなぐ役割を果たしていきたいと考えております。

(2)大阪は面積的には小さな自治体ですが、県境地域の山間部を中心に、豊かな自然が残っており、里山を形成しています。しかし、経済効果を狙った開発一辺倒の府政の中で、こうした地域の自然と暮らしは危機に瀕しています。

 例えば大阪府の森林環境税はこうした地域の自然を保護する政策のために使われることを目的としている税ですが、大阪府はなぜか駅前のドライミストにこの税金を注ぎ込んでおり、そのことを議会質問の中でも何度も問題にしてきました。

 日本の里山文化については、国内外からの関心も高く、山間部に移住したいという若者も増えています。生物多様性の保護、山間地の生活インフラの維持、そしてその特性を活かした、近郊農業や再生可能エネルギー開発といった経済振興策は、一定の相乗効果を持って振興できるものと考えており、先に触れた森林環境税や様々な財源も利用し、環境保護への効果を精査するなかで積極的な環境保護に努めていければと考えています。

日本共産党

(1)夢洲の土地の30%を湿地や干潟として自然再生することについて

 夢洲の土地の30%を湿地や干潟として自然再生することを公約に掲げることに賛同します。同時に、生態系の回復・復元を計画的に進めていく過程では、環境影響をよく検討し、住民もふくめた関係者(ステークホルダー)の英知を集め、たとえば藻場、干潟、砂堆などの形成過程や条件、それが生態系でどのような役割をもっているのかなどの基礎的な調査・研究とモニタリングを繰り返し、その結果を一段と新しい計画に適切に生かしていく住民参加のプロセスが必要不可欠と考えます。既存市街地の再生を含め、府域全体での自然再生をめざす検討を推進します。

 (2)生物多様性を回復させるネイチャーポジティブの具体的な施策について

  府内の生物多様性の保全をさらに進めるため、法令等に基づく保全地域(=保護地域)の適正な管理を進めるとともに、大阪府レッドリスト2014において、希少な野生動植物種が生息・生育し、種の多様性が高い地域として指定された55箇所の「生物多様性ホットスポット」や府内22箇所の「生物多様性保全上重要な里地里山」などとともに、生物多様性保全に貢献している保護地域以外の地域〔企業緑地、豊かな自然を有する都市公園、社寺林など〕における保全もすすめ、全体として生物多様性を回復させる持続的・積極的な取り組みが必要だと考えます。

自由民主党

(1)夢洲地区のまちづくりについては、大阪市・関西経済界とともに「夢洲まちづくり構想」を平成29年8月に策定し、新たな国際観光拠点の形成に向けて取り組む事となっています。公約として、夢洲の土地の30%を湿地や干潟として自然再生することを掲げることは困難ですが、生態系の再生・保全については重要な課題であると認識しています。

(2)生物多様性の保全と回復については、2022年3月に策定された「大阪府生物多様性戦略」を適宜進めていくことが重要。具体的には、生物多様性の理解と生物多様性に資する行動の推進、自然資本の持続可能な利用・維持・充実、生物多様性保全に資する仕組みづくりの推進等の施策を推進していくべきと考えています。

公明党

(1)夢洲のまちづくりについては平成29年8月に策定された「夢洲まちづくり構想」に基づき、広大な用地の確保ができる夢洲のポテンシャルを最大限に発揮できるまちづくり、そして臨海部の各エリアとの連携により、さらなる経済振興・都市魅力向上に資する拠点をめざすべく、次の取り組み等を進めることになっております。
■大阪の成長をけん引する新たな国際観光拠点の形成
■大阪の成長を支える既存拠点である国際物流拠点の充実
 よって、夢洲の土地の30%を湿地や干潟として自然再生することを公約に掲げることは難しいと考えております。ただし、生物多様性の保全と回復の重要性は認識しておりますので、国とも連携を取りながら各分野での取り組みを引き続き進めてまいります。

(2)生物多様性の保全・回復については、2022年3月に策定された「大阪府生物多様性戦略」にある下記3つの方針に基づき取り組みを進めていくことが重要であると考えております。
■「生物多様性の理解と生物多様性に資する行動の促進」
■「自然資本の持続可能な利用、維持・充実」
■「生物多様性保全に資する仕組みづくりの推進」及び「都市・地球環境問題に対する取組み」
 具体的な取り組みの一つとして、森林・河川・海域などが隣接する自治体が協力し、広域的に生物多様性の保全と回復に取り組むケースも少なくない事から、取り組みをリードし、後押しするために専門家を派遣するなどの伴走的な支援を行う仕組みづくりが重要であると考えております。
 いずれにしましても、公明党の地方議員と国会議員のネットワークを生かし、地域の皆さまに寄り添う中で伺ったお声を政策に反映させ、今後も生物多様性の保全と回復に全力で取り組んでまいります。

ネイチャーおおさか 公益社団法人 大阪自然環境保全協会

ネイチャーおおさかは、身近な自然を愛し、これを守り育てたいと願う市民が運営している公益社団法人の自然保護団体です。お電話でのお問い合わせはこちら 06-6242-8720

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