本山寺の自然環境保全地域活動報告2010から

高槻市本山寺周辺域の森林保全

高槻市の大阪府自然環境保全地域の特別地区である本山寺のモミ・ツガ・アカガシ林がシカによる採食圧を受けているため、2010年に「本山寺自然環境保全地域を考える協議会」を立ち上げ、防除、調査、保全に取り組んでいます。

2011年度の保全の取り組み報告集会

第2回・本山寺自然環境保全地域を考える協議会・2011年度報告集会
 知って欲しい、高槻の森林の今 

 日時:2012年3月31日(土)午後1時30分〜5時
 場所:高槻市立生涯学習センター・3F研修室 
 内容詳細(PDF)
 申込み方法等詳細(PDF) 

 

2010年度の保全の取り組みと課題

 本山寺(高槻市)のモミ・ツガ・アカガシ林は、その学術的な価値より昭和53年「大阪府自然環境保全条例」で「大阪府卑賤環境保全地域」「特別保護林特別区」第1号として14.32haが指定され、さらに「本山寺国有林」、銃猟禁止区域、「大阪府立北摂自然公園」であるなど一帯の自然は何重にも公的保護され、重要視された地域です。
 しかし近年のシカ密度の増加、林庄植生の変化、乾燥化、林地の崩落、周辺域で拡大しているカシノナガキクイムシによる被害(2010年は毎木調査地1ha内にアカガシ枯死1本確認)などで、森林生態系の劣化と森林の更新が危ぶまれています。
  「本山寺自然環境保全地域を考える協議会」(発起人:本山寺住職 百済寂仁、TKK自然観察会代表 田口圭介、NPO法人森林再生支援センター理事長 村田源(現名誉理事長)、㈳大阪自然環境保全協会会長 高田直俊、アドバイザー:大阪市立自然史博物館 佐久間大輔、京都大学 高柳敦、奈良教育大学 松井淳)として活動2年目にあたり、今後の課題について考えます。

*2010年度の活動

4−5月:高槻市、大阪府、環境省、林野庁各担当部局に要望書提出
6月12日:「自然観察ハイクー初夏の本山寺を歩く」(60名)、同日協議会設立
9−11月:毎木調査( 1ha のべ66名)
10月10・11日:「ナイトハイク」(17名)
10月17日:植生保護柵設置(10名)
11月3日:シカ区画追い出し法(27名)
3月26日:報告会(58名)
以上の活動は、保全協会の特定自然保護活動支援金によって行われました。また、2011年度もこの支援金をいただいて活動を継続しています。 
11月13日大阪登山研究集会、11月20日保全協会生物多様性シンポジウム、3月21日関西自然保護機構総会で紹介。

*課題

<植生の保護について>
森林域での防除は広大であり、当地の立地上、柵の設置は困難
<シカ個体数のコントロールについて>
・何頭であれば森林は大丈夫?→適切な頭数密度は不明
・何頭獲ればいい?→有害捕獲の効果は不明
・周りへの移動は?→周辺域への影響は不明
このように、対農林業被害と違い、森林生態系保全目的の野生動物管理は困難です。また何れの調査、対策も短期でのフィードバックは不可、適切な評価のためには、地道なデータ収集が必要で、2011年度も様々な方の協力を得て各モニタリング調査を継続しています。
 特に、個体数調整については、地域、行政、狩猟者団体等、多様な主体による体制が必須、恊働を呼びかけたいと考えています。

     文:常俊容子(NOB 里山委員会 野生シカ調査会)「都市と自然」2011年9月号より転載

ネイチャーおおさか 公益社団法人 大阪自然環境保全協会

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