第16回講座 淀川の河川環境 B 病める淀川の現状   (2011.8.10.)
講座内容淀川大堰から赤川鉄橋を経て城北ワンド群まで歩き、淀川大堰上流域の河川環境の現状を見る
講  師中野 勝弥先生 淀川自然観察会代表
場  所淀川大堰〜赤川鉄橋〜城北公園



 淀川大堰(昭和47年9月着工、58年11月完成)。


 大堰で淀川の水がせき止められ、水不足無し、海水が堰より上流には行かないので飲料水としては塩分が入らず、利水としては一応成功。


 大堰より上流の水(淡水)と下流の水(汽水)の味を確かめる受講生。


 魚のために作られた魚道だが、遡れるのはアユとモクズガ二だけ。在来の淡水魚が下りて来ると戻れず、生態系にとっては問題があると中野先生。


 神戸市、芦屋市、西宮市などへの取水口。


 阪神大震災後、船便が見直され作られた船泊まり。だが、船便の為には大堰が障害になることがわかり、大堰の改良を検討中。


 淀川の河川敷には6箇所のゴルフ場があると、地図で説明される中野先生。除草剤として使われる500種類もの農薬のうち検査項目に挙げられているのは200種類だけ。ゴルフ場はすべて取水口より上流にある。


 柴島浄水場の取水口。大阪市の水の半分はここから送られる。以前は水質改善に塩素を多く使ったため、トリハロメタンが増加し発がん性が問題になったが、10年前からオゾンと粒状活性炭を使うようになってトリハロメタンの心配は無くなり、美味しい水になった。


 尼崎市の取水口。


 赤川鉄橋を渡り、淀川左岸へ向かう。


 赤川ワンド。
 昔500ほどあったワンドが今は50ほどに。再生しようとしても大堰があり、水の流れや水位変動が無いのでイタセンパラなど以前の生物は棲めない。
 「人間が自然に手を加える事の良し悪しが問われています。」と受講生。


 城北大橋のたもとで。
 以前は8000羽ほどのツバメが塒入りしていたが、去年は350羽に。しかし、今年は1500羽に増加(ヨシ原の畑を無くしたのでヨシが復活したせいか)。
自然を守るのは、知識よりもやる気、地道に観察しデータ化して役に立てる、そういう人が増えることが大事、と中野先生はまとめられた。
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