タンポポ調査・近畿2005
調査実施要項(第1版)
(2005年3月1日〜5月31日実施)




主催:タンポポ調査・近畿2005実行委員会

  
【近畿事務局】社団法人 大阪自然環境保全協会 (TEL 06−6374−3376)
〒530−0015 大阪市北区中崎西2−6−3 パステル1−201
ホームページ:/shoko/Tampopo/Kinki_2005/
電子メール:tampopo_kinki★nature.or.jp

【各府県事務局・連絡先】
大阪府(社) 大阪自然環境保全協会
  (〒530−0015 大阪市北区中崎西2−6−3 パステル1−201)
兵庫県兵庫県立人と自然の博物館
  (〒669−1546 三田市弥生が丘6丁目)
京都府京都府実行委員会
  (住所削除 伴 浩治方)
奈良県奈良県実行委員会
  (〒631−0024 奈良市百楽園 5-1-23-103 田代 貢方)
滋賀県滋賀県立琵琶湖博物館
  (〒525−0001 草津市下物町1091番地)
和歌山県和歌山県立自然博物館
  (〒642−0001 海南市船尾 370−1)
三重県三重県実行委員会
  (〒514−0065 津市河辺町 3056−5 佐野順子方)

【後援】(申請中を含む)文部科学省・環境省自然環境局生物多様性センター・日本環境教育学会・大阪府・兵庫県教育委員会・京都府教育委員会・滋賀県教育委員会・奈良県教育委員会・和歌山県・和歌山県教育委員会・三重県教育委員会

目 次
1.はじめに―「タンポポ調査・近畿2005」に向けてクリック
2.「タンポポ調査・近畿2005」の目的 クリック
3.新たに生じた問題 ― 雑種タンポポの発見とその増加 クリック
4.タンポポ調査・近畿2005実行委員会とその組織体制 クリック
5.調査への呼びかけと調査方法 クリック



1.はじめに―「タンポポ調査・近畿2005」に向けて
 1970年代の初期は、日本の高度経済成長がピークを迎え、一方で各地で自然破壊や公害が進行した時期です。それに対して、自分たちがくらす地域を自然破壊や公害から守るためにあちこちで市民運動が起きました。この時、環境の指標となる生物を調査することで、自分達の住む地域の環境を知ろうという活動が行われました。

 そのような調査の一つとして、全国各地で最も広く行われてきたのがタンポポ調査です。タンポポ調査は、当時京都大学の教養部におられた堀田満さんが推進されたもので、タンポポを探して種類が日本在来のタンポポか、外国から持ち込まれた外来種(帰化種)かを調べて分布地図を作成するというものです。1970年代に入って各地で予備的な調査が行われ、1974年から1975年にかけて大阪府全域での大規模な調査が行われました。簡単に誰でもが参加でき、その結果がはっきりとして分かりやすい調査であったために、このタンポポ調査はやがて全国に広がり、また大阪府下ではそれ以降5年おきに同様の調査が継続されています。

 それ以後、近畿地方でも府県単位、あるいは市町村や学校の校区など、さまざまな単位での調査が行われてきました。それらのデータを比較すると、例えば1970年〜80年代の大阪府下での急速な帰化タンポポの増加と同じような現象が1990年代になって滋賀県で起こっているように見えるなど、より広域で調査するとさらに多くのことがわかります。また、従来の調査は近畿の各地域で独自に行われたもので、調査年度や調査方法が異なり、各地域の分布状況を同じ基準で比較することはできませんでした。

 そこで2005年に近畿圏全域で統一した方法でタンポポ調査を行って、この時点での近畿地方のタンポポの分布状況から近畿の環境の現状を把握したいと考えています。それとともに、これまでに蓄積されてきたデータを集大成して、1970年代から30年間にわたるタンポポの分布の変化を知ろうと考えています。すでに、2004年春にはこの2005年の本調査に向けて、統一した調査方法を確立させるとともに、近畿の2府5県全域での調査体制を調えるために、予備調査を実施しました。その結果、多くの皆様のご協力により、近畿全域から8000点近くのサンプルが集まり、すでに予備調査報告書として結果を報告しましたが、まだまだ未調査地域も多く、今春行う本調査によって、これらの地域も含めて近畿全域のタンポポの分布状況を把握したいと考えています。多数の団体や個人の方々のご参加をよろしくお願い致します。

目次へ戻る

2.「タンポポ調査・近畿2005」の目的
 身近に見られるタンポポには在来種と外来種、そして最近ではその雑種があることが知られています。
タンポポ調査とは、身近な地域でタンポポを探して歩き回り、その地域の自然環境を調べながら、発見したタンポポについて総苞外片の形・花や果実の色等から、そのタンポポの種類(在来種か、外来種か)を判断して、各地域でのタンポポの分布状況の情報を集めて、地域ごとに自然環境に対する人為の加わり方の強さを知ろうというものです。
 在来種のタンポポは草刈りや踏つけなどの恒常的で緩やかに人間の力が加わっている場所に多く、近年になって、開発によって大きく改変された土地には外来種のタンポポが侵入して分布を拡大してきました。このような両種の生育環境の違いに注目して、どちらのタンポポがあるか、あるいはどちらが多いかを調べることで、その場所の環境が人間によってどの程度改変されているかを知ることができるのです。

 このようなタンポポ調査を2005年に近畿全域で行う目的は次のようにまとめられます。

    第一には、
    タンポポの調査を近畿圏全域で行うことで、近畿圏全域の自然環境の現状を把握することです。特に大阪府下のように過去からのデータが集積されている地域では過去との比較が可能です。そして過去のデータがない地域でも、他の府県の結果と相互に比較をすることで、地域ごとの自然の特性や、今後の自然環境の変化について考える材料を得ることができます。

    第二には、
    より多くの人々とともに調査を行うことで、各自が身近な自然に目を向け、自然環境の変化に関心を持つことにつながるとともに、このような大規模な調査が行われることが広く知られることで、より多くの人々が身近な自然に関心を持つようになることを期待しています。

    第三には、
    小中学校や高等学校における環境教育の一環として「タンポポ調査」を呼びかけることで、調査活動の輪を広げるとともに、身近な地域の自然環境に興味を持つ児童生徒を育てることにつながります。

    第四には、
    だれもが参加しやすい調査を共同で行い、地域の自然環境について考えることで、自然保護団体・博物館・自然愛好団体・植物研究者など参加者間で交流を図るとともに、各地域での自然保護・環境保全の課題を共有することができると考えています。



目次へ戻る


3.新たに生じた問題 ― 雑種タンポポの発見とその増加
 このような環境を知るための調査にタンポポが使われてきたのは、総苞外片が上向きなら在来種、下向きなら外来種であると簡単に種類が判断でき、誰でも調査に参加できるということがもっとも大きな理由でした。
 ところが1990年代になって、この在来種と外来種との間に雑種ができているということがわかりました。そして大都市周辺では、外来種が在来種との間で雑種を作りながら広がっている可能性があるといわれています。

 この雑種タンポポの多くは総苞外片が下向きか横向きで、見ただけでは純粋な外来種と区別ができません(これを外来種型雑種という)。今のところ、雑種であることを確実に調べるには、タンパク質やDNAなどの化学成分を分析して比較するしかありません。ということで、今までと同じ方法でタンポポ調査を行なえば、総苞外片が反り返っているものには、純粋の外来種と雑種のタンポポが含まれてしまいます。
 その上、最近になって雑種にも様々なタイプがあることが発見され、中にはまだ少数ですが、総苞外片が上向きで在来種と間違う可能性のあるもの(在来種型雑種)まで見つかっています。
 そして、現在、日本に分布する外来種と在来種の雑種タンポポには、DNA解析によって、3つのタイプ(3倍体雑種・4倍体雑種・雄核単為生殖雑種)があることがわかっています(巻末資料参照)。

 そこで、今回の調査では、今までのタンポポ調査の方法を発展させて、従来から行ってきたように、総苞外片が上向きか下向きかを判断するだけではなく、総苞の反り返りの状態を5段階に分けて、報告していただくことにしています。
 これについては、関東や新潟県などでの研究で、総苞外片が上や横を向いているものほど雑種の割合が多く、純粋な外来種には総苞外片の下向きに大きく反り返っているものが多いことが報告されており、近畿地方でも昨春行なった予備調査で同様の傾向があることが確認されたことから、総苞外片の状態の割合が分かれば、雑種の割合が推測できると考えられるためです。さらに、総苞外片が上向きの在来種型雑種を在来種と識別するために花粉の観察を行います。
 これは2倍体である在来種の花粉は大きさがそろっている(写真左:上・下)のに対し、3倍体の外来種や雑種の花粉は大きさがバラバラ(写真右:上・下)なので、花粉の観察で両者を区別できるからです。




 これらの観察を行うためにも、今回の調査では発見されたすべてのタンポポについて、頭花と痩果(綿毛のついたタネ)の標本を採取して送っていただき、統一した方法でタンポポの種類を確認することにしています。

 また、一部の標本については、フローサイトメトリー法や葉緑体のDNA解析によって雑種のタイプを識別し、どのタイプの雑種タンポポが近畿全域にどの程度広がっているかを調べます。

 このように、今回のタンポポ調査では、雑種タンポポの増加に伴って、現在指摘されている問題を解決し、科学的で正確な調査を行うためには、どのような調査方法が有効であるかを検討しながら、近畿全域での在来種・雑種・外来種のそれぞれのタンポポの分布状況を明らかにしたいと考えています。

目次へ戻る


4.タンポポ調査・近畿2005実行委員会とその組織体制
 2003年3月に「タンポポ調査・近畿2005」の第1回準備会を開き、その後、予備調査の方法について検討する小委員会や準備会を重ね、近畿2府5県のこれまでタンポポ調査を経験してきた個人、団体に声をかけながら、準備を行ってきました。
 2003年12月21日には実行委員会を結成し、各府県別に調査組織を作って、2004年の4・5月に予備調査を行ない、その結果は2004年12月に「予備調査報告書」にまとめて報告しました。そして、いよいよ今年2005年春に近畿圏全域での本調査を実施いたします。

 現在、近畿の2府5県のそれぞれで府県別の実行委員会が結成され、昨春の予備調査を行うとともに、今春の本調査に向けて準備を進めています。
 基本的には、近畿全体の実行委員会で統一した調査方法を決定し、調査や結果の集約は同時に平行して、各府県で独自に行う形態とし、集まったデータを近畿実行委員会で整理し、全体をまとめていく予定です。
 タンポポ調査の意義をご理解いただき、ぜひとも多くの組織・団体がこの調査に参加していただくことを呼びかけます。  



*2005年1月現在における実行委員
<滋賀> 布谷知夫(滋賀県立琵琶湖博物館)
<三重> 佐野順子、木原寿代(三重県自然観察指導員連絡会)
<奈良> 久保田 有・田代 貢・河合正人・佐藤陽香・(奈良自然観察会)、鳥居春巳(奈良教育  大学)、今西塩一
<大阪> 伊東 明・名波 哲(大阪市立大学理学部)、佐久間大輔(大阪市立自然史博物館)、西村  静代(大阪市立自然史博物館友の会)、佃十純・広崎由利恵(大阪自然観察指導員連絡会)、泉本法子(はらっぱ)、香月利明(吹田自然観察会)、酒井和子・宮田 修・木村 進・高畠耕一郎・佐藤治雄・米道綱夫・横山恵子・有川佳代子・纐纈恵子・小嶋裕・白石卓也・杉野文昴・長谷川清・南勲郎・(大阪自然環境保全協会)
<和歌山> 高須英樹(和歌山大学教育学部)、内藤麻子・山元 晃(和歌山県立自然博物館)、田村雅弘(和歌山県生物同好会)、溝本正行(紀ノ川自然に親しむ会)、吉田元重(南紀生物同好会)
<兵庫> 鈴木武(兵庫県立人と自然博物館)、武田義明(兵庫県生物学会)
<京都> 伴浩治・村田 章(京都生物教育研究会)、宮崎俊一・石井寛子(乙訓の自然を守る会)


*府県別の調査参加団体(現在、呼びかけ中も含む)
<滋賀> 琵琶湖博物館フィールドレポーター・はしかけグループ、滋賀県生き物調査委員会、滋賀自然観察指導者連絡会、滋賀県植物同好会、理科教育研究会、総合教育センター、その他
<大阪> 大阪自然環境保全協会、大阪市立自然史博物館(友の会)、大阪府高等学校生物教育研究会、大阪自然観察指導員連絡会(NACS−J)、大阪市立大学理学部、はらっぱ、他
<兵庫> 県立人と自然の博物館・兵庫県生物学会(7支部)・その他
<三重> 自然観察指導員三重連絡会、亀山の自然を愛する会、横山パークボランティア、他
<和歌山> 県立自然博物館・和歌山大学教育学部・南紀生物同好会・和歌山県生物同好会・他
<京都> 京都府生物教育会・乙訓の自然を守る会・その他
<奈良> 奈良自然観察指導員連絡会(奈良自然観察会)、その他


目次へ戻る


5.調査への呼びかけと調査方法
I.調査への参加の呼びかけと参加方法

 この調査は広く市民に呼びかけており、だれでも参加していただけます。
 その際、次の2つの方法で参加を呼びかけるとともに、調査結果の集約を円滑に行うため、それぞれの場合について、次のような方法でご協力をお願い致します。
 今回の調査では、後述するように雑種タンポポに関するデータも収集するために、頭花の乾燥標本の添付をお願いし、標本が無いものは有効データとして扱いませんので、必ず標本を同封してください。

A.一般市民の個人参加者
 折れば封筒が作れるような調査用紙を作成して配布するので、身近な場所でタンポポの花を探して、その頭花を採取して種類を調べ、必要事項を調査用紙に記入し、頭花を採取して乾燥させた状態で小袋に入れて同封の上、各府県単位の実行委員会事務局へ持参するか、切手を貼って送付してください。
 なお、頭花を採取したものと同じ株に、綿毛のついた果実(痩果)ができておれば、それも採取して調査用紙の所定の場所へ貼付してください。

 調査委員会のホームページにアクセスすると、調査地点のメッシュ番号を確認できますので、できるだけメッシュ番号を記入して下さい。

 その後、各府県の集約担当者が、送られてきた乾燥標本によって調査用紙の記載を確認し、 同定に誤りがあれば訂正します。そして、調査用紙のデータをパソコンで入力して、メッシュ別のデータを府県単位で集計し、その結果を近畿2府5県で集約して、解析を行います。

B. 市民団体や学校団体での参加者(個人参加者でも大量のデータを収集した場合)
 各団体ごとに調査参加者を募集し、参加者はメッシュ地図(コピー)と必要な枚数の調査用紙を受け取り、メッシュ地図を見ながら調査用紙に調査地点のメッシュ番号を記入する。
または、上記Aと同様に調査委員会のホームページにアクセスして、調査地点のメッシュ番号を確認する。

 この場合も、タンポポの頭花と果実を添付して、封筒に入れて、各団体の代表者が集約(どこまでまとめるかは各府県の事務局とご相談ください)して、各府県単位の実行委員会事務局へ持参するか、送付する。

 その後、この場合もAと同様に、府県別データに加算して、全体の集計に加える。

II.調査方法

1) 調査期間:2005年3月1日〜5月31日
今回は調査対象地域が近畿全域と広く、南部と北部でタンポポの開花状況が異なるため、やや長い目に設定したが、各地域で多くの種類の株で開花が見られる時期を中心に実施してほしい。
 京阪神地域では、4月1日〜5月10日くらいが適当です。

2) 調査のために準備するもの
・調査用紙(A3両面印刷)、(あれば、調査用メッシュ地図・実施要項)、筆記用具、ティッシュペーパー、セロテープ、ハサミ

3) どこで調査をするのか
  • 調査地域は近畿の2府5県内(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・三重・和歌山)とする。
  • 細かい調査地点は、調査担当者にお任せします。ただし、できるだけ広く近畿全域にわたって調査をしたいので、団体参加の場合は、メンバーで調査地域を分担するなどして、できるだけ多くのメッシュについて調査できるようお考え下さい。
     今回は、昨春の予備調査の結果も参考にして、未調査地域がなくなるように考慮して調査をすることが望ましい。
  • 調査用紙はできるだけ、調査した地点を含む府県の事務局へ送って下さい。しかし、止むを得ない場合はまとめて同一の府県へ送っていただいても結構です。


  • 4) 調査の方法について
    ・詳しくは調査用紙をご覧下さい。
    ここではわかりにくいと思われる下記の4点 について説明を加えておきます。

      A)調査用紙の使用について
    • 今回の調査では標本(サンプル)を採取して送付していただくことになっています。その関係で1つの封筒に複数の種類の標本が入っていると、花粉などが混じったりして同定に混乱が生じるおそれがありますので、必ず、1枚の調査用紙は1種類 (厳密には1株) のタンポポについて記録し、標本も1株のものだけを入れるようにしてください。
       同一地点で2種類以上のタンポポを発見した場合は、用紙をコピーするなどして、別の調査用紙を使って記録し、それぞれの封筒毎に標本を同封してください。
       複数調査された場合は、郵送費を節約するために、すべての調査用紙を大きな封筒にまとめて入れて送ってください。1個ずつに80円切手を貼る必要はありません。
       また、大量に調査される場合は、調査用紙を封筒の形に折らないで、そのまま広げた状態で、頭花やタネを入れた小袋を調査用紙にホッチキス止めするなどの方法で送っていただいても結構です。 
      B)タンポポの標本(サンプル)の採取
    • 本調査では、種類の確認や雑種かどうかの分析のために、1地点1種類のタンポポについて1本ずつの頭花を採取して、ティッシュペーパーで包んでから紙の小袋や封筒に入れて (ナイロン袋に入れると腐ってしまうので、必ず乾燥させて紙の封筒に入れて) 同封して下さい。これがないものは有効データとして扱いません。

       また、同一の株で綿毛 (冠毛) のできたタネ (正確には果実) があれば、それも採取してお送りください。
       ただし、別の株のものを同じ封筒に入れないで下さい。果実も種類の識別に有用ですので、できるだけ花と果実が両方ついているものを探してください。しかし、頭花は必ず必要ですが、果実はなくてもかまいません。

       今回は送っていただいた頭花から花粉を採取して顕微鏡観察を行います。そのためには、できるだけ開花して間もない若い頭花が適しており、また、この花をそのまま封筒に入れると花粉がとれてしまうので、できるだけ花を採取した時にすぐにティシュペーパーで包むようにお願いします。
       細かい点ですが、標準のティシュペーパー1枚で包むと大きいので、1つの花を包むティシュぺーパーは半分くらいで結構です。

       タネ (果実) については、種類の同定に使うとともに、一部のサンプルについて、セロテープをはがしてポットに蒔き、発芽させてからその苗の葉を、雑種の識別のためのDNA分析に利用します。
       小袋用紙の所定の場所によく成熟したタネを数個〜十個程度、直接セロテープではりつけるか、別の封筒などに入れて、はりつけて下さい。

      C)タンポポの種類について(巻末の参考資料参照)  
    • 今回の調査では、タンポポの種類を大きく3つに分けて調査します。調査用紙の指示に従っていずれか1つに○をして、外来種の場合だけタネがあればその色を観察して記録してください。
       また、総苞外片の状態については、まだつぼみのものや、もうタネができているものではなく、きれいに咲いている花 (花弁が開いている状態) 観察して、5つの図のうちで最も近いと判断されるものを1つだけ選んで記号で答えてください。
       上向きと下向きのものが混じっている場合は、明らかに上向きのものが多ければ「」を、下向きのものが多ければ「」を選び、両者が同じくらいなら「」と答えてください。
       総苞外片の状態は標本では確認できず、現地での調査者の判断にかかっています。忘れずにご記入下さい。



      D)メッシュ番号(調査地点)の記入
       住所からメッシュ番号を調べる作業はたいへん労力がかかりますので、調査地点については、できるだけその地点のメッシュ番号を調べてご記入ください。
       なお、このメッシュ番号は、環境庁の「緑の国勢調査」で用いられた地形図の三次メッシュの番号のことで、8ケタの数字で表されます。
       1つのメッシュは1/25000の地形図を100等分したもので、南北が約0.8km、東西が約1.2kmの長方形で面積は約1km2の大きさのものです。

       メッシュ番号は、次の3つの方法で調べることができます。

    • (1)調査実行委員会のホームページ ( /shoko/Tampopo/Kinki_2005/ ) にアクセスしてメッシュ地図を呼び出し、その指示に従って調査地点にカーソルを持ってくると、画面下の方にその地点の経度・緯度・メッシュ番号が表示されるので、この最後の8ケタの数字を調査用紙の該当する欄に転記してください(ホームページの指示に従ってください)。

    • (2) 旧・環境庁発行の「1/50000 都道府県別メッシュマップ」(各府県の調査委員会にありますのでコピーすることができます)で確認する。

        このメッシュマップは府県別に1冊1300円〜2200円で販売されています(三重県版は絶版)が、書店を通じた市販はされておらず、購入希望の方は(財団法人)自然環境研究センター(住所:〒110-8676 台東区下谷3−10−10、пF03-5824-0960、Fax:03-5824-0961)に注文すると送ってくれます。また、注文書は同センターのホームページからもダウンロードできます。

    • (3) 国土地理院発行の1/25000地形図を購入して、地図の縦と横にある目盛りを利用して、自分で定規を使って鉛筆などで線を引いて、その地図を100等分するメッシュを書き込む。そして、調査地点のメッシュコードを読み取る。

        1/25000地形図の右上にその地図の二次メッシュコード(6ケタ、二次メッシュコード)が記入されている(ただし、古い版には記載のないものもある)。
        最後の2ケタは下図のように100等分したメッシュの位置を読み取るとよい。
        例えば、下図は1:25000地形図「高槻」であるが、この地図の星印の位置で発見したとすると、その地点のメッシュコードは「5235−24−51」となる。


    • *以上の方法でメッシュ番号が確認できない場合は、調査地点の住所と目印をできるだけ詳しくご記入ください。
       この場合は、調査実行委員会で調査者が記入された住所をもとに、地図上でメッシュ番号を探すことになりますので、地図で確認するときの目印になるような駅や公園の名称をご記入ください。

    III.調査用紙とサンプルの返送

     調査が終了して結果の記入がすべて終った調査用紙とサンプルはできるだけ早く各府県事務局へ送付してください。サンプルが新鮮なほど分析が容易です。
    あまり古くなると形態や花粉の分析が困難になりますので、調査終了日(5月末日)までにはお送りください。
     多数調査されたり、団体でまとめて送付される場合は、6月に入ってからでも結構ですが、できるだけ早くお願い致します。 送付されてきたサンプルはすぐに解析して、調査結果の入力を始めますので、ご協力をお願いいたします。
    IV.調査結果の集約と報告

  • 1) 各府県の実行委員会では、お送りいただいた頭花と痩果のサンプルをもとに、種名の確認を行うとともに、頭花から花粉を採取して顕微鏡観察を行い、それらの結果を調査用紙に記入して、その後、所定の様式でデータを入力する。

  • 2) 近畿実行委員会で、各府県別のデータを集約して、近畿全域の調査結果をまとめ、近畿 全域の在来種と外来種(雑種を含む)のタンポポ分布状況を示す地図を完成させる。この際には、昨春実施した予備調査の結果と今回の本調査の結果を合わせて、2004〜2005年時点の分布地図を作成する。

  • 3) また、一部の果実のサンプルについては、発芽させてその苗の葉のDNAを解析して、純粋な外来種か、雑種(その場合は、どのタイプの雑種)かを識別するために利用する。

  • 4) 同時に1970年代以降、近畿地方各地で実施されたタンポポ調査の結果を、同じメッシ ュの地図に取り込んで、今回の結果と比較することで、近畿地方におけるタンポポの分布状況の変化を把握し、30年間における近畿地方の環境の変化を把握する。

  • 5) これらの結果は調査終了後に様々な解析を加えて、「タンポポ調査・近畿2005」調査報告書をまとめて公表する予定である。



  • 目次へ戻る

    ※ カンパのお願い

     タンポポ調査はすべてボランティアで行われおります。
     この調査活動に必要な費用 (調査用紙や報告書の印刷費・解析に必要な経費) をまかなうためにカンパをお願いします。
     ご協力いただける方は、下記の郵便口座へ振り込んで下さい。
     なお、1000円以上のカンパをいただいた方には、振替用紙に記入された住所宛に「調査報告書」をお送りします。
     また、報告書が多数必要な場合は、1冊1000円(カンパ込み)でお送りしますので、振替用紙の通信欄に必要な冊数をお書きください。

    郵便振替口座番号:00950−3−221884
    口座名:タンポポ調査・近畿2005実行委員会


    目次へ戻る



          

      連絡・問い合わせ先:
       タンポポ調査・近畿2005事務局(tampopo_kinki★nature.or.jp

    530-0075 大阪市北区中崎西2-6-3 パステル1-201
    (社)大阪自然環境保全協会内
    Tel: 06-6374-3376 Fax: 06-6374-0608

    担当:木村進・高畠耕一郎

    Nature Osaka

    Nature > 書庫 > タンポポ調査・近畿2005トップ > 本調査実施要項(このページ)