2007年度総会で事業計画など5議案を承認

新しい理事に上田宏、白石卓也、谷幸三の3氏

  木下陸男・理事(前副会長)の辞任を報告



     保全協会は2007年度の通常総会を5月20日に大阪市此花区の此花会館・梅花殿で開き、今年度の事業計画など5議案をそれぞれ賛成多数で承認しました。このなかで理事の増員選挙も行い、信任投票の結果、上田宏、白石卓也、谷幸三の3氏を選任しました。

     また、里山保全運動の先駆者として活動を続け、30年にわたり理事を務めた木下陸男理事(前副会長)の辞任について報告しました。

     議案は、@2006年度事業報告書、A2006年度収支計算書、B2007年度事業計画書、C2007年度収支予算書 D理事選任の件(理事増員選挙の実施)。出席数は、会場32人、委任など181人の計213人(正会員364人=07年度新入会を除く)で、議長には飛田太一郎を選びました。2007年度事業計画の概要などを中心に以下に紹介します。

     なお、2005年度収支計算書、2006年度収支予算書の概要などについては下のボタンをクリックしてごらんください。

    2006年度収支計算書   2007年度収支予算書



 ◆中期計画(3〜5年)

     07年度も前年度事業計画の中期計画を継続し、里山保全政策づくりとその実践、他法人・団体との連携、環境教育の推進への対応、財政の改善を実施していきます。
     特に保全協会の財政は、外部から依頼される調査研究事業や協会主催の普及事業が縮減していることなどから単年度収支のバランスが悪化しており、財政体質を改善する必要性に迫られています。このため、主催活動の継続と拡充、新たな活動の展開を図り、会員拡大、寄付金の獲得なども含め財政体質の改善をめざします。
 ◆自然生態系を保全する活動(自然保護事業)

     7ヶ所のフィールドで里山保全活動を継続して開催し、大阪圏域の自然生態系保全活動の強化や主な開発問題への取り組みを継続的に行います。また、荒れた里山である針葉樹人工林と竹が侵入した雑木林の間伐、竹の除去作業を進めます。

     野生シカの調査では、今年度より第2期シカ保護管理計画が始まります。担当の野生シカ調査会では、大阪における野生動物保護管理を「生息地管理」、「個体数管理」、「被害管理」の視点より考察・提案するため、今期も継続して地域個体群の調査、生息域、他地域との回廊の確保、農林業被害などの調査を通じて保護を検討します。大阪府のモニタリング調査も継続して受託する方針です。

     大阪圏域の自然生態系保全活動の強化は、(1)里山政策委員会の再開などによる里山・田園環境保全に関する施策作成・提案の取り組み、(2)大阪圏域での主な開発問題への取り組み(水と緑の健康都市開発、余野川ダム建設など)、(3)国や自治体が呼びかける環境改善施策への参加、具体策の提案。また、堺市・鉢ヶ峯地域の「東西道路」延伸事業に伴う「堺南部丘陵の地域振興と自然環境を考える会」、「堺南部の里山に配慮した農道づくり検討会」に引き続き参画し、また道路法面緑化実験(大阪府事業)も継続受託する方針で、より環境負荷の少ない事業への対策などを提案します。
 ◆講師・ボランティアスタッフの派遣/調査研究活動(外部から依頼の公益事業)

     講師・ボランティアスタッフの派遣は、下記の通り、行政やその関係機関、民間団体などから依頼される事業に対して行います。
      
      行政や行政関係機関、民間事業団体が主催する自然環境保全に関する講座や講演、自然観察・体験の指導、普及行事/里山保全やその指導者養成に関する講座や技術的な指導/自然環境の調査・研究、保全計画作成、それらに関する指導/ビオトープ整備や植栽、緑化、それらに関する指導など

     その他の公益事業については、調査研究を中心とした受託等を推進し、自然環境資源の基礎調査、里山里地など地域自然環境の保全計画策定、市街地における緑地保全計画の策定などを実施します。また、学校や公共施設などにおけるビオトープづくりの支援を継続します。
 ◆外部からの依頼公益事業への対応充実と対外事業提案の強化

      対外的公益事業については、外部からの依頼事業に対応したり、外部に対し事業提案する「対外自然協力隊」を継続し、主に講師・ボランティアスタッフ派遣事業に対応しています。この実績を活かし、今後は外部への積極的な提案を図るとともに、この仕組みを調査研究等の公益事業に展開することも引き続き検討します。
 ◆機関誌の発行・ホームページの維持更新など

     月刊機関誌「都市と自然」の発行を継続し、「特集」「報告」記事を通じ、会員への各種情報提供の場としての機能を充実していきます。また、契約レンタルサーバーの変更による各種機能の向上を機に、協会の広報メディアとしてのHPの作成・運営をより充実します。さらにメーリングリストの新規開設などにより、ITを利用した協会内部の情報交換の効率向上に努力します。
 ■事務局機能の充実、IT化の推進

     事務局のIT環境や業務環境の改善、効率化のため、財政および機械の状況を見ながら老朽化の進んだコピー・FAX機、輪転印刷機の買い替えを検討・実施します。
     また、パナソニックNPOサポートファンドの助成を受けて導入したグループウェアシステムの本格運用を進めます
 ■組織の充実など

      理事会における自然保護・調査研究/普及/事業/総務・編集の4部体制については理事の再配置を行い、各活動内容の見直しなどにより各部の機能をより高め、連携を強めていきます。事務局の職員については2007年3月末で常勤職員2人体制を打ち切りましたが、その代替措置としては臨時的な職員の雇用により対応します。
     会員・グル−プなどの交流、連携の強化として、06年度は3回にわたり、協会の各講座・自然観察会・里山保全・調査研究の各グループスタッフ/地域の会員・団体が同じ場に集う「地域・普及活動れんらく会」を開催しましたが、今年度もこれを3回開催し、協会理事会・事務局と各活動グループ、講座と地域活動グループ、地域の活動グループと会員・他団体などの連携を推進します。また、地域グループのメンバー同士の交流のために「ネイチャー大阪ミーティング」(仮称)の開催準備を進め、各地での活動報告や情報交換のための場を設定します。
     保全協会内メーリングリストの開設など情報交流発信機能の向上策も検討します。
 ■保全協会設立30周年事業について

      保全協会が06年度に法人許可30周年を迎え、この機会に活動をさらに拡充しうる内容を前提に30周年事業を実施しましたが、枚方市・穂谷地区の里地里山の保全事業とネイチャーおおさか・スタディファイル(CD-R:有料配布)の発刊を記念事業として継続します。
 ■理事の選任

      4月1日付で公示した理事増員選挙(定員3名)は、公募期間内に上田宏、谷幸三、白石卓也の3氏から立候補の届け出があり、立候補者数が定員の枠内であったため信任投票を行った結果、信任多数により3氏全員を理事として選任しました。
 <質疑・意見の要旨(一部)>

  • 箕面北部丘陵の開発に伴う箕面トンネルの工事で地下水位が下がり箕面の滝が細ってしまうなどの影響が出ている。第二箕面トンネルも計画され、第二名神も建設されようとしており、無駄な開発をなくすために保全協会の全面的なバックアップをお願いしたい。

  • 枚方市・穂谷地区で行われているモニタリング1000里地調査をみていると、保全協会の存在感が薄れており、そうしたことが会員の減少につながっているのではないか。保全協会には、対外的な連携や地域団体のまとめ役、調整力を強化してほしい。

  • 30周年事業に挙げられている枚方市・穂谷地区の里地里山の保全事業について、事業計画が示されておらず、動きなどが会員に知らされていないため事業計画を出してほしい。

  • 保全協会の会員が減少しているが、上役・講座を実施している人たちが固まっていて、なかなか入りにくい、と言われる。もっと皆が共有する形でなければならないのではないか。



以 上

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