2008年度総会報告


公益社団法人化に向けて準備方針固める

総会で事業計画・定款変更など7議案を承認

  理事には金谷氏が復帰 栗谷 飛田 中島の3氏が新任



     保全協会は2008年度の通常総会を5月24日に大阪市此花区の此花会館・梅花殿で開き、7議案をそれぞれ賛成多数で承認しました。役員改選も行い、信任投票の結果、理事19名、監事2名を選任し、理事では金谷薫氏が4年ぶりに復帰、栗谷至、飛田太一郎、中島敏明の3氏が新任となり、監事では新たに傍島正博氏が選ばれました。

     議案は、@07年度事業報告書 A07年度収支計算書 B08年度事業計画書 C08年度収支予算書 D定款変更(1) E定款変更(2) F役員選任。出席は正会員331名のうち会場38人、委任など248人の計286人でした。また、議長には小路公之氏を選びました。新しい取り組みを中心に事業計画の概要などを紹介します。

     なお、2007年度収支計算書、2008年度収支予算書の概要などについては下のボタンをクリックしてごらんください。

    2007年度収支計算書   2008年度収支予算書



 ■中期計画(3〜5年)

     08年度も前年度の中期計画を見直して継続し、保全活動の拡充、環境教育推進施策への対応、財政改善などを方針としますが、公益法人改革への対応を新たに加えました。

    【 公益法人改革へ一歩 】
     国の公益法人制度改革に伴い、協会理事会(昨年12月)では公益社団法人へ移行する方針を決議していましたが、中期計画では「公益社団法人への移行は、その後の自然保護活動・協会運営の拡充につながるものと考えられ(中略)08年度には保全協会全体で移行への理解を深めつつ、組織・事業・財務など、移行に向けた基礎的、初歩的事項に対応し、それ以降の早い時期に移行できるよう準備を進める」という方針を掲げています。

    公益社団法人化に向けては、協会全体の組織・事業・財務など法人全般についてより一層明確化することも方針としています。協会のいわゆる活動グループは40以上に及び、これらが実施する活動は主催・非主催の区別、会計処理手法の違いなどもあり、協会という一法人の組織的在り方という点では明確に統一されていないため、協会と組織的に一体化するグループと協力関係を維持する協会外のグループに明確化します。

    法人改革の財政面での対応としては、法人の公益目的事業比率を50%以上にすることなど財政的条件も整える必要があり、現在の比率が50%以下になっている主要因である「繰越収支差額」について、そのうち一定額を「管理費引当金」として措置することとしました。

    【 財政の改善 】
     財政改善では07年度、常勤職員の非常勤化・事務所移転などにより経費を削減し、2年連続の支出超過を回避しましたが、活動の継続・発展、新たな活動展開で事業の拡充を図り、会員拡大、寄付金獲得なども含めて財政体質改善をめざします。

    【 新講座の検討 】
     普及活動では、生物多様性保全を主眼として地球環境問題について考え、その関連活動にもつなげる新たな主催講座開催を検討し、条件が整えば実施します。
 ■自然生態系を保全する活動(自然保護事業)

     里山保全事業のうち里山ボランティア入門講座は例年の入門講座をいったん休止し、これまでの修了生と里山保全活動経験者向けの「ステップアップ研修講座」を単発で数回開催します。従来の入門講座については、今年度に在り方などを検討します。地域フィールドでの里山保全活動は8カ所で継続して開催します。

     野生シカ調査は今期も継続し、地域個体群、生息域、農林業被害などの調査を通じて保護を検討します。また、大阪府のモニタリング調査も継続して受託する方針です。

     枚方市・穂谷地区の里地里山保全事業は、地元受け入れ態勢や地区内既存団体の活動調整などが進まなかったため保全協会30周年事業としては打ち切りましたが、引き続き「穂谷森づくり委員会」に参画するなどして活動を継続します。

    主な開発問題への取り組みとしては、水と緑の健康都市、大阪府営の安威川ダムや槙尾川ダム、近畿圏のダム問題など無駄・有害な事業中止への運動を継続します。
 ■自然保護の普及(観察会・講座等事業)

     主催のボランティア養成講座・研修5件、観察会・行事など21種を継続して実施します。また、上記主催講座の運営スタッフや指導者を養成する立場にある人がスキルアップするための研修・講座を開催します。さらに「地球環境保全講座」(仮称)の開催を検討し、条件が整えば実施します。対外的な事業としては、自然保護の活動地や自然保護を必要する地域を対象に、地域団体などと協働する日帰りエコツアーも実施します。
 ■講師・ボランティアスタッフの派遣/調査研究活動(外部から依頼の公益事業)

      講師・ボランティアスタッフの派遣は、下記の通り、行政やその関係機関、民間団体などから依頼される事業に対して行います。

      行政や行政関係機関、民間事業団体が主催する自然環境保全に関する講座や講演、自然観察・体験の指導、普及行事/および里山保全やその指導者養成に関する講座や技術的な指導/自然環境の調査・研究、保全計画作成、それらに関する指導/ビオトープ整備や植栽、緑化、それらに関する指導/エコツアー、など

    その他の公益事業については、調査研究を中心とした受託等を推進し、自然環境資源の基礎調査、里山里地など地域自然環境の保全計画策定、市街地における緑地保全計画の策定などを実施します。また、学校や公共施設などにおけるビオトープづくりの支援を継続します。
 ■ホームページ・事務局機能向上・IT化

      協会の広報メディアとしてのHPの作成・運営をより充実します。また、メーリングリストの新規開設などによって協会内部のITによる情報交換の効率向上に努力します。情報共有推進委員会は理事会直属から総務・編集部の内部組織と位置づけ、グループウェアシステムの機能向上と運用拡大を推進します。さらに必要に応じファックスなど通信機器の更新を行います。
 ■組織の充実・会員グル−プなどの交流・連携の強化

     06年度には3回にわたり、協会の各講座・自然観察会・里山保全・調査研究の各グループスタッフや地域の会員・団体が集う「地域・普及活動れんらく会」を開催しましたが、07年度には開催していなかったため、今年度は開催の趣旨や意義を整理・再検討して1〜3回開催し、協会理事会・事務局と各活動グループ、講座と地域活動グループ、地域活動グループと会員・団体などの連携を推進します。
 ■定款変更に必要な同意数の改定など

      保全協会の定款を変更するには、総会において正会員の4分の3以上の同意を得ることが必要でしたが、今後の法人運営をより効率的に行うことを可能にするため定款変更案を提案し、審議の結果、「定款の変更は、総会において、正会員の3分の2以上の同意を得、大阪府知事の認可を得なければ行うことができない。」と決定しました。また、保全協会の事務所移転に伴う定款上の事務所所在地変更議案も承認されました。
 ■役員の改選

       改選された理事・監事は次の通りです。また総会を中断して開いた理事会で会長に高田直俊、副会長に佐藤治雄を選任し、総会に報告しました。【他の理事】上田宏/岡秀郎/金谷薫/木村進/栗谷至/小島恵美/白石卓也/新保満子/高畠耕一郎/田中広樹/田渕武夫/常俊容子/飛田太一郎/中島敏明/夏原由博/野田奏栄/米道綱夫 【監事】傍島正博/新居誠一郎
 ●【出席者の質問・発言・答弁】(一部)

     会場からは、箕面トンネルや第二名神・新箕面トンネルの建設による箕面の滝の枯渇化、箕面森町(水と緑の健康都市)開発問題について、自然保護と税金無駄遣いの観点から抗議の声を挙げるよう意見が出されました。

     また、保全協会理事会が公益社団法人化の方針を決議した(07年12月)ことについて、こうした重大方針は理事会ではなく総会で決議すべき、という意見が出されましたが、理事者会側は、法人の決議機関の一つである理事会としてまず決議したもので、(中期計画3.に示したように)本日の総会において最高決議を図ろうとしている旨を説明しました。

     会員減少やその対策についての質問もあり、理事会側は、主催講座修了生の会員引き留めや、会員活動の場の充実策検討などに取り組んでいることを説明しました。

    また、収支予算書案の管理費引当金について質問があり、理事会側は、自然環境保全活動充実のための人件費、自然保護活動の運営費、事務所の機器等整備費、理事等の交通費への引当を考えている旨を説明しました。



以 上

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