第16期秋冬コース第12回講座 里山の哺乳類と生息環境

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第12回講座 里山の哺乳類と生息環境 (2019.1.23)

講座内容

哺乳類のフィールドサインによる生息調査法

午前:中川原~日の丸展望台

午後:日の丸展望台~緑のセンター

講師

早川 篤(大阪市立天王寺動植物公園学芸員/大阪自然環境保全協会前理事)

場所 池田市五月山

「今回の講座は面白くありません。」早川先生の意外な言葉から「里山の哺乳類と生息環境」の講座が始まった。哺乳類がテーマだが、実物の動物を見ることはほとんど期待できない。彼らの残した痕跡を探しながら、池田市の五月山の中川原町ルートをたどる。

モグラの掘ったトンネルと新しい土の小さな「塚」を見つけた。先生「モグラとはどんなイメージ?サングラスをかけヘルメットをかぶってシャベルを持ってる?いーえ、サングラスはかけてないです。」受講生「???」

何ものかが残した「ふん」。大きさを比較できるものを横において撮影するとよいそうだ。恐らくテンかイタチだろう。野生動物たちが残した「生活痕」をフィールドサインという。それを見つけたら「想像力」を働かすことが大切だ、と先生。

シカの角の研ぎあと。シカの角は非常に硬いそうだ。そしてこういう樹の幹で角を研ぐ。先生「シカやイノシシは何という仲間ですか。そう、偶蹄目です。偶数の蹄(ひづめ)、いくつでしょう。2つ?4つ?」

山道をたどる受講生たち。この周辺にもたくさんのフィールドサインが。マウスを写真の上に置くとイノシシが体をこすりつけた泥の痕の残る木が見られる。


展望台より池田市街地を望む。こんなに市街地がせまった五月山に、多くの野生動物が生息していてその痕跡を残している、ということに軽い感動を覚える。

午後は緑のセンターで剥製や標本を見ながら先生の講義を聴く。これはイノシシの下あご(上の写真)と上あご(下の写真)の骨。イノシシの下あごの犬歯は一生伸び続け、つねに研がれて鋭くとがるのだそうだ。写真の犬歯の根元も伸び続けられるようなしくみになっている。

イノシシの足(左)とシカの足(右)の標本。偶蹄目の動物は4個のひづめを持っている。先端の2個を主蹄、後方の2個を副蹄という。主蹄はヒトの薬指と中指、副蹄は小指と人差し指に当たるそうだ。彼らはまさに爪先で走ったり跳んだりしているのだ。

モグラの標本。毛は体に垂直にビロード状に生えている。土中で狭いトンネルを移動するのに、これなら前進も後退もスムーズ。手はシャベル状で体の横についている。モグラは「自前のシャベル」を2つ持っていた。先生の軽妙な語りで野生動物たちの生態をかいま見た1日だった。

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