第14回講座 淀川の河川環境@」淡水域から汽水域にかけて  (2008.7.23.)
講座内容淀川の淡水域から汽水域にかけて生息する生物が1980年代の 淀川改修工事を経て今日どのように変化しているか,その実情と原因について学び,淀川の生物環境再生への道を考える。
講  師河合 典彦先生 大阪市立大桐中学校教諭
     淀川環境委員会委員
場  所大阪市 水道記念館



写真やデータを交えながら淀川環境の変化や生物相の変化について説明する河合先生


淡水域での魚類調査結果では,種数こそ在来種が外来種を上回っているが,個体数では90%以上が外来種。淀川淡水域の魚は殆どブルーギルやオオクチバスなどの外来魚で占められている。


淀川のシンボルフィッシュといわれているイタセンパラ(特別天然記念物)も2006年以降,3年連続して確認されていない。


1980年代の淀川改修工事(低水路横断面積拡大)により,台風や梅雨の大雨時 でも水位の上昇が少なく,ワンドやタマリが冠水することが殆ど無くなった。 そして,ワンドやたまりの多くが野球グラウンド,河川公園などに造成された。


1970年代以前はこのようなタマリが多く点在し,大雨時には冠水して流水や土砂による攪乱を受け,多様な生物の生息環境を育んだ。それらのタマリやワンドにはアユモドキ,イタセンパラをはじめ多くの生物が生息していた。


淀川大堰から下流では潮汐の影響を受けて水位が変動し,干潟が現れる場所がいくつか存在する。そこではカニ,エビ,貝類など多くの生物が生息している。1951年当時180haあった干潟の総面積は1998年には50haに減少している。


講座会場の大阪市水道記念館では琵琶湖・淀川水系の魚貝類,水中植物を飼育展示している。同記念館の横山さんの案内で見学。


ここ3年間,淀川で観察されなくなってしまったイタセンパラ。 ここでは人工飼育されている。


多様な生き物の復活と,人々がそれらの生物と触れ合うことの出来る 淀川河川環境の再生に向けて熱く語りかける河合先生。
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