(1) 小委員会の設置の趣旨と役割
- 雑種タンポポシンポジウムの総括と、過去の近畿の各府県での調査方法とを踏まえて、第3回準備会までに統一した予備調査のマニュアル(調査用紙)を作成すること。その際、2005年春の本調査を念頭に置いて、2004年春の予備調査のあり方を検討する。
- 雑種問題に対しても正面から取り組み、「学術的批判に耐えうる厳密さ」と「小中学生を含めた参加者にとってのわかりすさ」とをどのように折り合いをつけるか検討して、調査用紙の作成を行う。
- 小委員会で作成したマニュアルは近畿全域での最低限の共通項目とし、各府県の調査では過去の調査との関連で独自の項目を追加することは可能とする。
- 2005年本調査までに、雑種と純粋外来種の見分け方について、アロザイム分析・DNA解析などによる雑種の判定と形態的な特徴との対応関係を押さえておきたい。
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(2)タンポポ調査近畿2005調査マニュアル作成に向けての検討事項
- 原則としては、予備調査の調査票はかなり詳しくして、その結果をもとにして本調査は可能な範囲で簡略化する。データ自身は2004年の分を本調査に合算することを前提にして進める。
- 今回の調査では、頭花の標本の採取を必要とし、ないものは有効データとして扱わないことを前提として検討を進める。
A.タンポポの種類分け
- 1) 在来種型雑種タンポポの扱い−
総苞外片が上向きで、一見すると在来種と見間違う可能性のある雑種をきっちりチェックする。
予備調査では、頭花の採取を義務付けて、府県単位の同定担当者が統一した基準で、総苞外片が上向きのタンポポの中に、雑種タンポポがどのくらい含まれているかを原則として全サンプルについて調べる計画。
その形態や小花数・顕微鏡での花粉サイズの観察などから在来種か雑種かを識別する。本調査では予備調査における在来種型雑種の出現率を見てどうするか判断。
→ 2004年4月上旬に調査方法の講習会を持ち、識別法を学習する。また、調査締切後の6月上旬に各府県のサンプルを持ち寄って、一斉に観察して採取された頭花や痩果を識別する講習会を行う予定(場所は、大阪市立自然史博物館の予定)。
- 2) 外来種型雑種タンポポの扱い−
総苞外片が反り返っているタイプの雑種は、形態だ
けで純粋な外来種と完全に区別することは困難なので、本調査では外来種型雑種は外来種とまとめて扱わざるを得ないだろう。
本調査で全サンプルのアロザイムやDNA解析を行い、雑種と純粋な外来種とを完全に識別することは、労力的にも予算的にも不可能。 そこで、予備調査では、雑種と在来種を識別する重要な特徴と考えられる形態的な特徴として、総苞外片のそり返りの程度の観察を調査者に求め、雑種と純粋な外来種の比率を求める指標となるかどうかを検討する。 それ以外の頭花の形態的特徴(総苞外片の小角突起の高さ・外片の縁の毛の量など)もサンプルから測定したり、また、頭花だけでなく、できるだけ同一株での痩果を採取して送付していただき、その形態も測定・記録(アカミタンポポの識別にも活用)して、雑種の識別に活用できるかどうかを検討する。
それと平行して、本調査までに、予算的・労力的に可能なサンプルについて、DNA解析かアロザイム分析によって、雑種か否かの解析を行い、雑種と純粋種の頭花や痩果の形態的特徴の違いを明らかにし、各地域での純粋な外来種の割合を推定しておきたい。本調査でどうするかは、予備調査の結果をみて考えることにする。
- 3) 在来種の分類について−
本調査で共通して行うのは黄花と白花の区別のみ。
頭花のサンプルがあれば、カンサイタンポポ以外の在来種の識別も可能なので、府県によってはその同定を行ってもよい。ただし、頭花一つだけでは識別が困難なサンプルもあり、また、近畿北部の倍数性の黄花在来種と三重や和歌山に分布するシロバナ系の在来種の扱いがむつかしい(できれば、近畿の在来種のリストを作成させ、実施要項に示したい)。
- 4) アカミタンポポとセイヨウタンポポの識別について
痩果がないと完全な識別はできないので、可能な限り痩果の採取・添付も求める。
添付された痩果については、色だけではなく形態もチェックすれば、純粋な外来種
と雑種との識別にも活用できる可能性もあり、この点にも痩果のサンプルを活用で
きるかどうかを今後検討する。
B.調査期間について
- 地域差があることも考えて、予備調査では期間をひろげて、4月1日(木)から5月31日(月)までとし、その結果を見て本調査では期間をもう少し限定する。
C.調査結果の報告方法について
- 1) 個人参加者の場合−個人でも大量にデータを収集する調査者は、2)に準じる。
調査用紙を作成し、折れば封筒が作れるような調査の案内チラシを作成して配布する。 この場合の送付先は各府県のデータをまとめる団体・個人あてとする。 送付先については、第3回準備会で確認して、11月中には決定したい。
◆調査参加者は、タンポポを見つければ、1地点1種類ごとに1枚の調査用紙を用い、その質問に従って必要事項を記入する。
◆記入後、その用紙を折ってのり付けをして封筒を作成する。また、頭花は1本採取し、紙に包むなどして、別の小袋に入れて封筒に同封する。
◆頭花があった株と同じ個体に綿毛のついた痩果があれば、それを数個採取して小袋用紙の所定の位置にセロテープで貼り付ておく。
◆この封筒は切手を貼って、各府県の送付先へ各自郵送していただく。ただし、多数の地点で調査した場合は、封筒を大きな定形外封筒にまとめて郵送してもよい。
◆調査地点については、可能な限り国土地理院の地形図の三次メッシュ番号を記入することとし、わからない場合は住所や目印となる公園名や駅名を記入する。また、メッシュ番号は、タンポポ調査のHPにアクセスして調べられるようにする。
◆各府県の集約担当者が、送られてきた標本によって調査用紙の記載を確認し、同定に誤りがあれば訂正する。さらに、必要な観察を行い、調査用紙のデータを所定の集計シートに入力して、メッシュ別にデータの集計する。
◆近畿2府5県の集計データを集約して、解析を行う。
- 2) 団体での参加者や個人でも大量のデータを収集する調査者の場合
参加者は必要枚数の調査用紙と、可能であればメッシュ地図を受け取り、地図で調査メッシュコードを確認して、調査用紙に記入する。
◆団体には事前にメッシュ地図(旧環境庁が作成した都道府県別メッシュマップか、独自に国土地理院の地図をコピーして作成した地図)を購入したり、配布してその地図でメッシュ番号を確認してもらう。
◆それらの結果をできるだけ各団体で集約して、同封されている標本で調査用紙の記載を確認して同定の誤りを訂正した上で、団体ごとに所定の形式の集計シートに集約する。この場合も全サンプルを各府県の集約担当者へ送っておく。また、それが困難な団体では、1)と同様にして集約担当者へまとめて送付する。
◆このデータを各府県の集約担当者へ送って、府県別データに加算する。
◆1)と同様に近畿2府5県の集計データを集約して、解析を行う。
D. 調査用紙について
- 1)分布地点の表し方
- 様々な形でデータが集まってくるが、最終的には国土地理院の25000分の1地形図を南北・東西ともに、10等分した三次メッシュ(国土庁、環境庁の「緑の国勢調査」などでも利用)に、どの種類が何地点あるかを集約することになるだろう。
- 調査用紙に、住所だけではなく、できるだけメッシュコード(8ケタ)の記入を求める。住所だけの場合は、地図上で確認が必要なので大きな労力が必要になる。予算が許せば、予めメッシュ地図(緑の国勢調査用に県別に冊子が発行されている)を配布してメッシュ番号を確認したり、地図に調査地点番号をプロットして提出を求め、それを各府県で集約するなどの方法も考えられる。
- 2)分布地点のまわりの環境の表し方について
- 各府県の過去の実施例を見ると、様々な分け方が見られる。近畿統一調査では、あまり細分化せず、かつ、以前のデータとも比較できるようにという観点で検討した。
- 3)分布するタンポポの量について
分布するタンポポの量については、区分が困難であるという意見と調査データが少ない場合は量的評価を加味する方がいいという意見があり、予備調査では3段階で分布量を記入することになった。本調査では結果をみて再検討。
- 4)その他−数値地図やインターネット・携帯電話の活用について
予備調査では、調査方法や種類の見分け方に加えて、調査地点のメッシュコードを地図で確認していただくためにHPを活用することになった。 さらに本調査に向けて、瀬戸内ネットでのデータ入力法をもとに検討していく。 すべてをインターネット入力するわけにはいかないが、学校現場などではパソコンの活用事例として取り上げると、参加校が増える可能性もあるかもしれない。 また、今後本調査に向けて、携帯電話などの活用も検討する。
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(3)雑種タンポポの解析について
今後、調査マニュアル小委員の鈴木氏(兵庫県立人と自然の博物館)、伊東氏(大阪市大・理)を中心に検討して、具体的な調査方法について実行委員会に提起していただく。
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(4) 近畿地方の過去の調査データの集約
今後、可能な範囲で統一して、メッシュデータへ読み替えて保存することが必要。
調査責任者の了解を得ながら、メッシュデータ化する作業を進める。現在わかって
いるもの以外にも収集に努め、統一した書式でまとめる。
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