タンポポ調査・近畿2005 活動記録 No. 14



タンポポ調査・近畿2005 第1〜3回解析委員会報告

  
【日時】第1回:2004年7月10日(土)午後1時〜4時、参加者9名
第2回:2004年8月 9日(土) 午後1時〜5時、参加者9名
第3回:2004年8月24日(火) 午後1時〜4時、参加者5名
【場所】(社)大阪自然環境保全協会 事務所
【出席者】佐野(三重)、鈴木(兵庫)、布谷(滋賀)、佐藤・高畠・木村・伊東・纐纈 ・名波(大阪)、内藤(和歌山)、村田・石井(京都)
【司会】高畠(事務局・大阪自然環境保全協会)
【記録】木村(同)
【案件】
      
(1) 解析委員会について
    @ 設置提案:
    第3回実行委員会(2004.6.5)に事務局から提案して了承。
    A 委員(自薦他薦で決定):布谷・佐藤・伊東・佐久間・佐野・纐纈・高畠・木村・鈴木(以上9名)+参加希望者(解析委員以外の方も出席可)。
    B 役割・目的:
    予備調査のデータ処理の方法について検討し、実際に近畿全 域の調査結果を集約して考察を加え、中間報告案をまとめる。また,その結果をもとに、2005年本調査の調査方法についても検討して、実行委員会に提案する。
    C 任期:
    第4回実行委員会(04.9.4)までに中間報告案をまとめて提案し,それで完成していなければ,再度解析委員会を開いて、次の実行委員会へ提案。
(2) 予備調査実施状況(2004年 9月 4日現在)
    第3回解析委員会での検討によって、一部修正をお願いして集約した調査データ数(この段階で未処理・未入力分は予備調査結果には入れずに、本調査の解析に組み込むこととした)
府県名  当初報告の
送付サンプル数
有効サンプル数 有効数の内、
外来種(注)のサンプル数
外来種率 備 考
@三重県 約1500 1514 649 42.90%  
A滋賀県 570 515 284 55.20%  
B京都府 約2000 258 271 59.80% 未処理あり
C大阪府 2517+? 2465 1663 67.40% 未処理あり
D兵庫県 800+? 1265 893 70.80%  
E奈良県 250 258 139 53.90% 未処理あり?
F和歌山県 1218+? 1287 515 40.00%  
合 計 8855+? 7753 4414 56.90%  
*メッシュコードが明らかに間違っているものは,可能な範囲で修正し、他府県で処理されたデータは、調査地点の府県に組み入れてある。
(注):「外来種」には「雑種」を含んでいる。


(3) 予備調査結果の集約を進めるにあたって

 @ 近畿全体のデータ解析を進めるにあたって(実行委員会+解析委員会)
    1) 在来種の扱い方について 
    ア)在来種の扱い方について
      1) 近畿全体の集約では在来種を黄花と白花に分けるだけとするとしてきたが、府県によっては種名まで同定したところも多い(兵庫・三重・滋賀など)。
      本調査では統一したマニュアルを作ってきっちり同定する方がいいだろう。→ 各府県での予備調査結果に基づき、10月11日(月)の第5回実行委員会終了後(18:30〜)、在来種の分類に関する検討会・学習会を行う。

      2) 黄花の在来種でも、2倍体の種と3倍体以上の高次倍数性の種とでは明らかに分布が異なる。今回は、花粉観察をしているので、それも参考にできるので、集計や分布地図作成に当たっては、両者を区別した方がよい。その際には、キビシロタンポポやウスギタンポポと同定されたものは、黄花の高次倍数体に入れ、在来種でもシロバナタンポポだけは別扱いとする。

      3) よって、在来種は次の3つに区分して集計する。なお、種まで同定した府県はそれによって府県ごとの解析を行ってもよいが、府県によって扱い(同定の基準)が異なるので、近畿全体の集計では、参考資料として算出するだけにとどめ、解析には用いない。
        A.黄花2倍体種:カンサイ・トウカイ(カントウ)・セイタカ・(イブキ?)・(ナガオカ?) ・・・・・・花粉は均一。花粉が均一で花の白い白化個体も発見。
        B.黄花高次倍数体種:ケンサキ・ヤマザト・クシバ・キビシロ・ウスギ・・・・・・花粉はバラバラ。
        C.シロバナタンポポ ・・・・・・花粉はバラバラ。

      4) 形態から「在来種」と判定されて、その後の花粉観察で「バラバラ」と言う結果が出たものは、「在来種型雑種」の可能性が高い(高次倍数体の在来種の可能性もある)と考えられるが、今後、種子を発芽させてDNAの解析に回す予定であり、とりあえずはそのままの形で処理を進める。
      ただし、兵庫県については、総苞外片の形態タイプ1か2のものは在来種型雑種として処理されており、この点で扱いが少し違っている。
      なお、他の府県で在来種と判断されて花粉が「バラバラ」だった個体は、三重:5(1.0%)、和歌山:11(1.6%)、奈良:10(10.9%)、滋賀:26(22.0%)、京都:8(4.8%)、大阪:43(5.9%)、近畿全体で4.4%あった。

    (イ) 外来種と雑種について
      1) 雑種も花粉は「バラバラ」であり、純粋な外来種とは区別できないので、一応「外来種」の区分に含めるものとする。痩果があって確認できるものだけ、「セイヨウ」と「アカミ」に区別する。痩果がないものは「不明外来種」とする。

      2) 雑種を含めた外来種(花粉がバラバラのもの)のうち、総苞外片のタイプが1か2の個体が、「在来種型雑種」と考えられるが、これと(ア)の4)であげた花粉がバラバラの在来種も同様に雑種の可能性があるのでこれらを合計すると下表のようになる。

      府 県 外来種で総苞タイプが1・2 在来種で花粉がバラバラ 在来種型雑種?の合計 外来種の合計 外来種に占める比率
      三重 53 5 58 654 8.90%
      和歌山 13 11 24 526 4.60%
      奈良 5 10 15 149 10.10%
      滋賀 3 26 29 237 12.20%
      兵庫 63 1 64 894 7.20%
      京都 11 8 19 271 7.00%
      大阪 80 43 123 1706 7.20%
      合計 228 104 332 4437 7.50%
      *今後、これらの個体が本当に雑種であるかどうかを、種子を発芽させて葉の細胞のDNA量を測定することで確定し、本調査に備える必要がある。
      (注):「外来種」には「雑種」を含んでいる。


      3) 外来種の総苞外片の状態を比較すると、滋賀・和歌山・三重・奈良ではタイプ5(純粋な外来種の比率が高いと考えられる)が多くて半数を超えていたが、大阪や兵庫・京都ではむしろタイプ4や3が多かった。

      4) 花粉観察における問題点
      • 花粉「不明」というのは、頭花の時期が不適切(つぼみや未熟・開花後)で花粉の確認が困難か、花粉があっても判断できなかったのか、がはっきりしない。
      • 花粉の観察で、他種の花粉が混ざっていたり、砂粒・泥などの混入にも要注意。
      • セイヨウタンポポの花粉で、花粉量が多いものはわりと形がまとまっていて、気をつけないと「均一」と判断しかねない場合がある(鈴木)。

A 入力処理後の調査用紙、頭花・痩果サンプルの扱いについて(前回の確認)
    1) データ入力後の調査用紙は、整理番号順にファイルして各府県で保存する。

    2) 頭花・痩果サンプルは小袋に整理番号を朱記して一定数ずつ(大阪では50ずつ)封筒に入れて保存する。頭花はそのまま当分の間、各府県で室温で乾燥保存しておく。

    3) 痩果については、小袋用紙(必ず整理番号を記載しておくこと)にセロテープで貼り付けたまま、密閉できる容器(または、チャック付きのナイロン袋)に入れて、冷蔵庫で低温保存。
    これらは、各府県で処理が終了していらなくなったら、大阪市大まで郵送する。最低限、判定が困難なのもはすべて送付すること。全サンプルをそのまま送ってもよい。
    伊東・名波先生のほうで必要に応じて、発芽させてDNA量の解析にかけていただく。
       *送付先:〒558-8585 住吉区杉本3-3-138 大阪市大理学部 伊東 明 

B 現在までに集約されたデータの予備的な解析(佐藤・木村、別紙)

(ア) 基礎的な解析(クロス集計)
    1.府県別の発見地点数と種類別の発見数(外来種の割合)
    2.種類別の総ほう外片の状態・生育環境・花粉観察結果など
    3.総ほう外片の形と花粉観察結果など
(イ) メッシュ地図による解析
    1.種類別(・総ほう外片の状態別)の分布地図(3次メッシュ)
    2.外来種(含雑種)の比率の分布メッシュ地図
    3.堀田1977のメッシュ地図と比較できるメッシュ地図(メッシュのサイズは3次メッシュを4個合わせたもの)
    <データ処理・解析の経過>
    *解析委員会では、佐藤氏に依頼して上記のような基礎的なデータ処理と、多数のメッシュ地図の作成(大阪を中心に、一部は近畿についても)をしていただいた。
    この結果は第1・2回解析委員会に提出されたが、いくつかの府県でデータが未入力であったり、入力に不備があることが見つかり、何回か追加・修正を行って、それらを含めた処理をお願いした。
    その後、木村がグラフ作成やいくつかのデータの解析を行ない、第3回解析委員会に提出した。
    この委員会で意見をお聞きし、メッシュ地図については、堀田(1977)を中心にした1970年代の分布地図と比較するために、当時のデータ入力を木村が行ない、佐藤氏に比較ができる地図を作成していただいた。
    また、解析に必要な表やグラフの作成を木村が行ない、第4回実行委員会(2004.9.4)に提出して、委員全員のご意見をうかがって、必要があれば、再度解析委員会を開いて検討を加えて中間報告書にまとめることになっている。
(4) 予備調査における雑種の解析について(大阪市大、伊東・名波氏)

 一部のサンプルについて、フローサイトメーターと葉緑体DNAによる解析を行なって、予備的な検討を行なっていただいている。
両者を併用すれば、現在知られている在来種と外来種の間に生じる3つのタイプの雑種(3倍体雑種・4倍体雑種・雄核単為生殖雑種)を識別することができる。
アカミタンポポについても可能。
    1) 第3回実行委員会では中間報告をいただき、3つのタイプの雑種の解析がすべて終了した大阪市大構内〜住吉・東住吉区の309サンプル中、純粋な外来種は215個体(69.6%)で雑種は約30%でこれまでの報告より少ない結果になっている。その他の地域は、まだ雄核単為生殖雑種の分析はできていないので、それを除いた雑種の比率は、吹田市:69%、堺市:76%となっている。(思ったほど多くはない?)

    2) 第1回解析委員会では、3ケ所(吹田・堺・大阪市住吉区と東住吉区)の予備的な解析から、次のような内容の途中報告があった。詳細については、今後、伊東氏にまとめていただく。
      @ フローサイトメトリー法で、3つの雑種を識別することは可能
      A 雑種の割合は場所によって大きく異なる。
      B 平均的には総ほう外片の反り返りが少ないものほど雑種の比率が低下する。
      C 総ほう外片の反り返りの程度が同じでも場所によって雑種の比率は異なる。
      D 総ほう外片の反り返り具合の頻度分布の場所による違いはあまり大きくない。まだ、解析された地点数が少ないが、総ほう外片の反り返りの状態を5段階に分けた結果だけでは、各地域の雑種の比率を推定することはむつかしく、地域別に雑種比率を調べる必要があるようだ。

    *また、堺市では花粉観察の結果とも対応させてみたが、花粉がなかったものはすべて4倍体雑種であることがわかった。花粉が均一なものには雑種がなく、すべて在来種であった。

    3) 第3回解析委員会に、名波氏から「予備調査報告書」の原稿を提出していただいた。
    ただし、予備的な解析のデータだけでは少ないので、さらに、在来種型雑種と思われるが、総苞外片の形態や花粉の観察では確定できない個体については原則としてすべてのサンプルについて、また、それ以外の個体については、各府県で総苞外片のタイプ毎に一定数のサンプルを抽出して、痩果を発芽させて葉のDNA量の解析を行なう予定である。
    その結果をもとに、「総苞外片の5つのタイプ」毎に、3つのタイプの雑種・純粋な外来種がそれぞれどれだけ含まれているかを明らかにし、本調査に備えたい。


(5)予備調査の報告プリント及び中間報告の作成

@ 予備調査結果の公表について
    1) 各府県のデータを独自に発表することは各府県の調査実行委員会にまかせる。
    2) 近畿全体の集約・解析は本解析委員会で行う。
    3) 解析結果は次の方法で公表し、本調査への参加呼びかけに活用する。

      A.報告プリント(A3判、10000枚印刷、表面:カラーの分布メッシュ地図やタンポポの写真など、裏面:白黒またはカラーで、調査の概要や結果の解説を記載する)
        *なお、本調査で活用できる「タンポポの種類識別のカラーチラシ」も平行して作成して準備をしておき、本調査時に配布したい。
        これらについては、印刷費用の見積もりを取り、助成金の残額と比較して結論を出したい。

      B.予備調査報告
      (A4判で20〜25ページ程度の冊子。1000部印刷予定。
      予算の関係で業者には発注せずに協会での印刷になる可能性。
      予備調査の段階なので、来年の本調査の実施に役立つ資料が必要。
      Aの報告プリントもこの中に入れる。)

      C.様々な場面で予備調査結果を分担して報告し、本調査の宣伝につとめる。
      まずタンポポHPに掲載し、その後、マスコミ・機関誌・集会・その他(学会など)に公表。
A 中間報告書等作成の日程案 
    2004.8.9.2回の解析委員会の結果をもとに、報告プリントと予備調査報告の目次案・執筆分担を決定し、可能な項目から原稿の執筆開始
    2004.8.14. 各県データの最終修正の締切(この時点以降のデータは含めない)→クロス集計や分布地図作成など基礎的な解析作業(佐藤先生)→解析のための基礎資料作成(木村)→第3回解析委員会に提出
    2004.8.24.  第3回解析委員会(13:00〜、於保全協会)。近畿全体の予備調査結果についての調査結果について検討→予備調査報告書・報告プリントの原稿作成へ
    2004.9. 4. 第4回実行委員会(13:00〜、於保全協会)。可能な限り報告書原稿を提出
    2004.9.30. 予備調査報告書原稿最終締切
    2004.10.11.または10.16.第5回実行委員会 予備調査報告書原稿検討
    2004.10〜11月 報告プリントはできるだけ早く印刷し、希望者に配布。予備調査報告書は遅くとも11月中には完成させたい
(6) 本調査の実施に向けて
@ 本調査のあり方について
    1) 基本的には近畿全域で最低限統一して行う調査としては、予備調査と同じ方式の調査を継続して実施する。そして、この2年間の調査結果で分布地図を作成する。調査方法の大枠は変えないが、予備調査の結果を踏まえて、「調査用紙」や調査の方法の一部に修正を加えたい。
      *ただし、予備調査段階では在来種の分類については、各府県に任しており、近畿全体の結果は、「黄花在来種」としてまとめることにしていたが、本調査では統一できる所は基準を統一して在来種をもう少し分類してはどうか。この際、花粉の観察も行っているので、2倍体と高次倍数体とを区別することは可能だし、この両者は分布環境も異なっている。さらに種をどこまで細分するかは、今後検討し(鈴木先生他)、本調査の頭花のチェック時に活用したい。
      *総苞外片の状態と花粉観察の結果から、在来種と雑種をはっきり区別する手法を確立したい。外来種と雑種についても、可能な限り区別ができないかを検討。

    2) それ以外にどのような調査を行うかは、各府県の判断に任せる。しかし、別の方法で行った調査データは、近畿全域の調査結果とは別に扱うものとする。
      *例えば、大阪からは従来の調査と同様な次のような調査を行うことを考えているので、了解してほしいという提案があった。小学校や中学校での調査で全員にサンプルを採取させて行なうと、我々の処理能力を超えたサンプルが集まるし、都心部の在来種などの採取は教育上も望ましくない。そこで、種類は総苞外片が上向きの在来種と、それ以外の外来種に2分し、地点も参加団体に必要なメッシュ地図をコピーして配布し、それをもとにメッシュ番号を記載していただくか、地図にデータをプロットしていただき、これから読み取る方法も可能としたい。

    3) 「携帯電話」を利用して行うタンポポ調査の可能性についても、実行委員会で検討する。ただし、この方法では標本を入手できない可能性もある。
A 「調査用紙」の修正について(案)――大阪の実行委員会での検討結果(今後追加意見を出していただき、本調査ではより改善された用紙を利用したい。)

  • 通し番号  補助的なもの、大阪ではあまり役に立たなかった
  • 整理番号  調査用紙のトップにもってくる
  • 1.調査した日  bヘ調査者にとっては必要
  •  あなたのお名前     →名前      (所属団体    )
     ご住所 〒        →住所 〒     
  • 2.調査した場所  メッシュ番号が探しにくい。
    ○○公園→○○学校  町、村の右側の下線を短くしてはどうか
    メッシュ地図の例示の番号が間違っている
  • 3.調査地点の環境:都市的緑地の中に団地を入れる(・・グラウンド・家、団地の庭など)
  • 4.タンポポの種類  4−1は〔 〕にではなく、数字に○をつける
    4−2のすぐ下に総苞外片の形(→状態)の図をつけ、図に○をつける
  • 頭花・痩果の有無・花粉観察の結果のチェック欄を設け、○をつけてチェックできるようにする
  • 小袋(折り方の線が間違い)は再考の必要あり(切り取り方、整理番号の記入箇所など)。小袋を使用せず、封筒に頭花を入れ、調査用紙に痩果を貼る方法も検討

*以上に加えて、次のような意見も出された
  • 調査した場所の環境についてのコメントや調査の感想を書いてもらってはどうか
     現在の項目だけでは、市民参加の環境調査としての位置付けがわかりにくい
  • 花粉については、調査者がセロテープで採取して、それを提出していただくとよいのではないか
  • 一人で大量にデータを集める方のために、必要な事項が記載されてサンプルもあれば、簡略化した方法でも可能としてほしい
B 本調査の調査体制・方法について

1) どのようにして、調査を広めていくか? 参加団体を増やしていくか?
    *学校団体へのアプローチ(小学校・中学校・高等学校……)
      校区が広い高等学校に呼びかけるのが効果的。伴氏や木村などは、高校で頭花と痩果を採取して、授業時に花粉を生徒自身で観察し、ミクロメーターの実習として花粉のサイズを測定する実習を行った。これを広めていきたい
    *携帯電話を利用する方式を導入するか?
      ―新しい方式として現在事務局で検討中。調査の概要や方法を携帯電話で見ることができて、結果の送信も位置情報や撮影したタンポポの写真も含めて可能。
      次回の実行委員会で検討したい
    *特に、調査地点に地域的な偏りがあった府県(京都府・奈良県)については、事務局体制も含めて十分検討する必要がある。これらは、9月4日の第4回実行委員会の課題としたい。
2) 雑種の解析とどのようにリンクさせるか?

*フローサイトメーターと葉緑体DNAによる解析(大阪市大:伊東・名波氏)
  • 2004年春は大阪府内の大阪市(住吉・東住吉区)・堺市・吹田市の3地点でサンプル採集。一定の成果が得られたが、大阪市内と堺市・吹田市ではやや結果に相違があった。もっと、多くの地域で同様の調査をすることが必要。
  • 今後、各府県のサンプルのうち、総苞外片が上向きなのに花粉のサイズがバラバラな個体(在来種型雑種?)などについては、送付された痩果を発芽させて、本当に雑種かどうかを確認する。
  • また、可能なら各府県ごとに総苞外片の状態が1〜5の各段階のサンプルを抽出し、それらの痩果を発芽させて各段階でも雑種に比率を調べてみる。
  • 2005年春については、別の地域でも集中的にサンプル(頭花や痩果)を採取し、クール宅急便で回収するという方法で調査を行う。
  • 雑種の解析とその他の形質(総苞外片・頭花・痩果など)の形態学的解析との対応性についても検討したい。
3) 他の地域の研究者との連携−最近の文献紹介

    *小川他(2004.3)「移入種タンポポによる生物多様性の撹乱と環境指標性に関する緊急再評価」(平成14〜15年度科研費補助金研究成果報告書)
    *山野美鈴・芝池博幸・井出 任「雑種タンポポの花粉生産及び頭花の形態的特徴」(2004年植物分類地理学会口頭発表)
(7)その他

解析委員会を3回開催して、予備調査結果の集約と解析、及び、本調査の進め方についての意見交換を行ってきた。
また、本調査時に用いる「調査用紙」については提案をまとめられていないが、解析委員会は解散し、今後は実行委員会で本調査に向けて作業を進めていきたい。



  連絡・問い合わせ先:
   タンポポ調査・近畿2005事務局(tampopo@nature.or.jp

530-0075 大阪市北区中崎西2-6-3 パステル1-201
(社)大阪自然環境保全協会内
Tel: 06-6374-3376 Fax: 06-6374-0608

担当:木村進・高畠耕一郎

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