第29回講座 「土壌」 (2010.12.8.)
講座内容樹木にとって重要な土壌の話と土壌調査法(室内講義と森林土壌調査の実習を通じて学ぶ)
講  師伊藤 孝美 先生 大阪工業大学非常勤講師
田渕 武夫 先生 富田林の自然を守る会代表・大阪自然環境保全協会理事
場  所富田林市奥の谷



午前中は、「森林土壌と調査法」の室内講義、午後からは、各班に分かれて実際に土壌を掘って断面の観察をしてもらうと挨拶される伊藤先生。


「土壌に関連した樹木生育の基本」は、@:光合成(有機物の合成)に始まる。A:植物の葉・枝・幹・根では呼吸が行われ、発生したCO2は大気へ、B:水分は土壌中の根から吸収され、⇒ 幹 ⇒ 葉 ⇒ 大気へ(蒸散)。


伊藤先生の講義を熱心に聞く受講生。


午後からの土壌調査に必要なトンガ、スコップ、剪定鋏、折れ尺、クリノメーター(斜面の方位と傾斜を測る道具)などが各班に貸与される。
クリノメーターの使用方法を学ぶ受講生。


各班に分かれて、調査地の選定。


1mの深さを掘るのは簡単と思っていたが、土壌中に張られた根を剪定鋏で切りながらの作業は大変である。


3班の受講生達で掘られた深さ1mの土壌断面。


「土壌断面調査票」の各項目欄(層位、色、腐植、石礫など)に、調査結果を記入。各層の土壌をとり、標準土色帖を用いて土色を確認。


調査結果について、伊藤先生に確認・指導を頂く。
各班の作業地は、”弱乾性褐色森林土”であった。
(1班) 土壌を見る限り良い土壌である。隙間に根が入りやすく、粘土部分にいく根は菌根の可能性あり。


(2班) コナラや大木の生育に適した土壌。調査内容も良く記録できているとのコメントを頂き、笑顔の受講生。


(3班) 表層部分の土壌は団粒状で、水を溜めることもでき、通気性、透水性も高く、最も良い土壌である。
(受講生の感想:土の恵みを感じた一日でした。)


伊藤先生から、今日は殆ど細根が見られなかったが、本来であれば、菌根類が生育し、木が充分に育っているはずである。里山として利用されてきた結果、このような土壌になったのではとお話を頂いた。
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