都市と自然誌抜粋(トピック)No_447_201306_2

Tomorrow 森づくりにかかわるということ

 文 川口 将武(大阪産業大学専任講師、「チャリティネット森が好き!」運営事務局)

 

 2003 年、僕はその頃住んでいた大阪府大東市の、ある森づくりの会に参加していた。荒れた竹林を整備し、竹炭を作ったり、市民イベントで竹トンボや竹馬を子供たちと一緒に作ったり。何もわからない中、手とり足とり教えてくれた先輩方のおかげで、僕自身「森づくり」ボランティアの存在意義とそれが果たす役割の重要性、そしてその活動の限界を学んだ。はじめは自身の研究の一環として、森づくりボランテイアを体験したいという半ば自己中心的な考えが出発点だったと今振り返って思う。

 しかし、この森づくりの会の気のいい人たちと仲良くなり、学生時代から関わってきた大東市に対し、人一倍愛着心が僕の中で育っていったのは嬉しい誤算だった。何事もビジネスライクには割り切れない僕は、その会のどのような集まりでもできるだけ参加するようになっていった。休日早朝に送りだしてくれる妻に「また今日も里山にいくの?」と声をかけられるのが辛くなったこともたびたびだった。

 ちょうどそのころ子供が生まれた。僕は休日、森づくりに出かけていたから、ボランティア活動でよその子供と竹トンボ作って遊んでやるより自分の家の子育てしてよ!と暗に言われているような気がしたのだ。

 最近、妻に「今思えば、子供が小さかった頃、あなたは休みの日も不在で、一回も沐浴をさせへんかったね」と冗談交じりに言われた。赤ちゃんの沐浴は日中にしていたので、休日くらいは僕がかわってやってあげられればよかったのだ。そんな妻もそのうちに諦め、こころよくボランティア活動に送りだしてくれるようになった。こうやって送りだしてくれるのも森づくりの大きな支援の一つだと思う。

 「できる人ができることをやる。」 ボランティア活動とはこのひとことにつきると思う。僕は微力ながら、妻の分まで森づくりに参加する。しかし、僕のように近所に森づくりの会がなかったり、森林ボランティアになることが敷居が高いと感じる人。また、自然に癒されたり森に心地よさを感じたことがあるけど、余暇は家族と一緒に過ごしたいから自分の時間を作りにくい人、子育てや介護に追われて周りに意識が向けることができず、自由な活動ができない人。そんな人たちに、このたび誕生した「チャリティネット森が好き!」(8 頁の関連記事を参照)の存在を教えてあげたい。「寄付は森づくりの参加スタイルのひとつだ。」

 あなたが多忙だったり、余裕がなかったりしたとき、近くの森や山を眺めてほしい。 きっといつもそこにたたずんでいる森や山はそっとあなたを見守ってくれているだろう。この山は誰が管理しているんだろう? いつも子供と遊びに行くあの棚田はなぜ美しいんだろう?「 チャリティネット森が好き!」のカタログを見てほしい。 きっとその山や森や田のあるべき姿を守ろうとしているボランティアの存在を認識できると思う。そして、その美しい景観を守る活動の応援として、特定の、その団体に寄付をしてもらいたい。

 あなたの寄付でさらにボランティアが頑張れるから。「チャリティネット森が好き」は、想いのいっぱい詰まったカタログだ。

※ 関連記事もご覧ください → 「チャリティネット森が好き」が活動を始めています

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