(第3回)メールニュース連載~夢洲から~

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夢洲から描く大阪湾の自然再興

当グループでは、これまで夢洲の生物多様性ホットスポット(特に多様な鳥類の生息環境)を保全・創出するための働きかけを大阪市や博覧会協会等に対して行ってきました。しかし、万博の環境影響評価(アセスメント)に基づく対策は不十分であり、万博協会から大阪市に土地が変換される2028年には「夢洲まちづくり構想・基本方針」およびマスタープランに基づき、貴重な環境がすべて開発される計画となっています。私たちは、こうした夢洲の現状に対する働きかけを止めず、さらに一歩進めて「大阪湾全体へのネイチャーポジティブ(自然再興)」を求めていく活動を、今後も継続していきたいと考えています。これまでの私たちの活動と夢洲・大阪湾の真実を皆さまに知っていただくため、本メールニュースにて「夢洲から描く大阪湾の自然再興」を7月号から11月号にかけてお届けします。私たちが日々活動の舞台としている大阪湾の本質を、歴史と生態系の両面から見つめ直すきっかけになれば幸いです。

第1回:大阪湾のなりたちと歴史、かつての原風景をたどる ←これを読む
第2回:埋立の歴史と、そこに生まれた「渡り鳥のオアシス」~南港野鳥園と夢洲~←これを読む

第3回:動き出した巨大開発と、失われゆく「奇跡の湿地」~夢洲の現状と生きものたちの危機~

第2回では、大阪湾の埋立てという歴史のなかで、南港野鳥園や夢洲の湿地が、渡り鳥たちにとって国際的にもいかに重要な「人工のオアシス」となっていたかをお話ししました。第3回となる今回は、その夢洲が今、どのような大きな転換期を迎え、生きものたちの環境に何が起きているのか、その生々しい現状をお伝えします。

1. 2017年以降の激変:万博・IR誘致と開発の加速

長らく大阪湾の「廃棄物処分場」や「未利用地」として静かな環境が保たれていた夢洲ですが、2017年の「夢洲まちづくり構想」を皮切りに、その運命は一変しました。
2025年の大阪・関西万博の開催決定、そして統合型リゾート(IR)の誘致計画により、夢洲は一躍、国家級の巨大開発エリアへと位置づけられたのです。大規模な土地造成、インフラ整備、鉄道の延伸などがハイスピードで進められ、かつて鳥たちが羽を休めていた静寂な空間は、一気に工事車両が行き交う広大な建設現場へと姿を変えていきました。
※下の写真:夢洲1区(万博時の西ゲートあたり)のゴミ焼却灰による埋立作業。カラスが多数集まっている。

2. 「夢洲の湿地」の消失と、コアジサシたちの受難

この急速な開発によって最も直撃を受けたのが、長年この場所を頼りにしてきた渡り鳥たちです。
造成工事にともない、雨水や浚渫土砂が作り出していた広大な「湿地」や「池」は次々と埋め立てられ、鳥たちの餌場や急速地が急速に奪われていきました。
特に深刻な影響を受けたのが、絶滅危惧種であり、夢洲を日本最大級の繁殖地としていた「コアジサシ」です。

地面に直接巣を作る彼らは、工事によって営巣地を追われ、行き場をなくしてしまいました。私たち保全協会をはじめとする市民団体は、事業者に対して「代替営巣地(鳥たちが安心して巣を作れる臨時の場所)」の設置を働きかけ、一定の配慮は試みられたものの、刻一刻と進む大規模な工事の波の前では、かつての豊かな繁殖環境を維持することは極めて困難な状況に陥ってしまったのです。
※下の写真左:工事途中で保護区を設置2021年6月 右:夢洲で営巣するコアジサシ(交尾)2020年5月

 

3. 数値が物語る、生態系の寂しい変化

夢洲で確認される鳥類の数は、開発の本格化とともに目に見えて減少しています。かつては113種もの多様な鳥たちが群れをなしていた夢洲ですが、湿地が消え、乾燥したコンクリートや砂利の土地が増えるにつれ、シギやチドリといった水辺の鳥たちの姿は激減してしまいました。
開発の手が伸びることで、人間社会は新しい価値や経済効果を生み出しているのかもしれません。しかしその一方で、地球規模の渡り鳥のネットワークを支えていた「奇跡のピース」が、私たちの目の前で音を立てて失われつつあるのが、現在の夢洲の動かぬ事実です。
経済発展の光の影で、急速に失われてしまった夢洲の自然。しかし、私たちはただ手をこまねいて消えゆく景色を見つめているわけにはいきません。

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次回(第4回)は、「失われた環境をどのように取り戻すか?RSPB(英国王立鳥類保護協会)の先進事例から学ぶ『自然再興(ネイチャーポジティブ)』へのヒント」についてお伝えします。

ネイチャーおおさか 公益社団法人 大阪自然環境保全協会

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