生物多様性のホットスポットである夢洲の自然環境保全に関する要望及び質問書

HOME » 自然保護運動 » 意見・提言・声明 » 生物多様性のホットスポットである夢洲の自然環境保全に関する要望及び質問書

夢洲の自然環境保全に関する要望及び質問書 2018.11.19 

〈提出先〉

大阪府知事   松井 一郎様
大阪市長    吉村 洋文様
大阪府議会議長 岩木   均様
大阪市会議長   角谷  庄一様

提出年月日:2018年11月19日

生物多様性のホットスポットである

夢洲の自然環境保全に関する要望及び質問書

公益社団法人大阪自然環境保全協会 会長 夏原 由博

(1)該当箇所
 生物多様性国家戦略の全般に関わる法制度について。(第2章5節・6節、p44~53)
(2)意見の要約(94字)
  改定案では、危機的状況にある生物多様性の保護保全政策・施策の根幹をなすべき法制度改革が無いに等しいため、生物多様性基本法を上位とした法制度体系の改革について記載し、実施していくべきです。
(3)意見及び理由
  改定案・大阪説明会(7月18日)での名刺交換の際、戦略企画室の奥田直久室長様にお伝えしましたように、本改定案も含めた生物多様性国家戦略(以下「戦略」)では、失礼ながら100点満点の50点にしかなりません。法制度体系の改革を避けて策定されたこれまでのような「戦略」では、日本の生物多様性は保護保全できず、現実的には実効が上がらず、「戦略」は残っても、自然・生物多様性はさらに台無しになっていた、という結果になります、いや、その結果が-すでに現況-と言えます。
  つまり、今回の改定案も含めた「戦略」は、根幹的な課題、すなわち第一義的で最も実効的な法制度体系の旧態不備・制度疲労に対応できておらず、それら最も重要で喫緊の課題を避けて策定されており、<戦略>には成りえていません。
今回の改定案で、こうした問題に対応することは最重要で必須ですので、環境省・関係省庁の責務として、是非宜しくお願い致します。
  関係省庁・政府がご承知なのは当然ながら、日本の国土に関する法制度は、国土利用計画法や国土形成計画法などを中心として、開発・利用を主たる目的とした体系をもち、自然環境保護保全関係の法制度は、それらに従属的に策定されてきました。ここにようやく生物多様性基本法が施行されましたが、上位法とは言ってもまだまだ理念法であり、
 自然豊かだったはずの国土は、国土利用計画法などを軸として改変が進行していくばかりです。つまり、今のままの同基本法や関係法制度体系では生物多様性の危機の第1要因を有効的に抑制し昇華していくことはできません。そこで、「戦略」を本当の<戦略>とするため、改定案には次の内容を盛り込んでいただきますよう宜しくお願い致します。
 1)自然・農耕林地を含めた国土の保全・利用に関する法制度体系を、自然生態系(広がり等としての)・生物多様性の保護保全を上位とする視点から改善(改革)していく。
 2)生物多様性基本法を上位法として義務法化しつつ、国土利用計画法などによる現行の開発改変を抑制できるよう誘導する。場合によっては、国土法などの要素を同基本法に統合する。
 3)土地所有権の公的移転や、いわゆるゾーニングを誘導する法制度を強化する。
 4)上記のための代替政策・施策も同時に立案し(新規産業化など)、また財源措置を確保する。
 5)上記を3年以内で、第1次法制度改革として実施していくことを記載する。
  

 大阪府・市が誘致に取り組んでいる2025年万国博覧会は、11月23日の国際博覧会国際事務局総会にて2025年の万博開催地が決まりますが、誘致の成否に関らず、大阪の生物多様性の重要なホットスポットである万博会場予定地・夢洲とその周辺の全般的な環境保全を要望します。

 会場予定地の夢洲は、「大阪府レッドリスト2014」の大阪府「大阪府の保護上注目すべき野生動植物、地形・地層及び生物多様性ホットスポット」において生物多様性ホットスポットのAランクに選定されており、ホットスポットとは、「希少な野生動植物が生息・生育し、種の多様性が高い地域」をあらわすものです。
 大阪府作成の冊子「大阪の生物多様性ホットスポット」においても「夢洲は、(中略)西側には広大な裸地や草地、水たまりが拡がっている。裸地は、コアジサシ(府・Ⅰ類)などのアジサシ類や、シロチドリ(府・Ⅱ類)の繁殖地となっており、水たまりはカモ類などの水鳥が多数集まり、周囲には、シギ・チドリ類も見られる。」「夢洲は、野鳥園臨港緑地(もと大阪南港野鳥園)のすぐ北西側にあり、チュウヒ(府・Ⅰ類)ハイイロチュウヒ(府・準)のように両者を行き来している鳥も多い。夢洲は、一時期は大阪湾随一のコアジサシの繁殖地で、ベニアジサシ(府・準)の繁殖例もあるが、整備が進む中、コアジサシやシロチドリの繁殖数は減少している。」とその重要性を述べています。また大阪市も大阪市生物多様性戦略において、生物多様性ホットスポット保全エリアとして夢洲を明記しています。
 大阪府・市によれば、夢洲の総面積390haの中に万博関係で70ha、他カジノの関係にも多くの面積が開発予定されています。自然ゾーンと呼ばれる区域(10ha)もありますが、「公園やイベント広場」であり、生物多様性を構築するに不可欠な、生態系・種・遺伝子の3つの多様性が認められるとは決して言えません。生物多様性とは簡単に言えば、地球上の多様な環境に適応した多くの生きものが暮らしていることです。計画されている図を見る限り、多様性を有する自然とは程遠いものと推測されます。このままでは、万博・カジノ誘致により生物多様性ホットスポットとしての夢洲と周辺部の環境保全は、とうてい保証されるものではありません。

 夢洲は人工島とはいえ、多くの鳥類が生息・飛来するAランクの生物多様性ホットスポットであり、大阪府・市にとって誇るべき自然豊かな場所です。世界的にみても、単に大都市であるという、それだけの理由では旅行者は訪れなくなりつつあり、都市の中に豊かな自然と文化が調和して初めて一流の都市であると認められ旅行者から選ばれます。
 大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」ですが、今後人類が地球上で生き延びていく上で、これらの生物多様性を保全していくことは重要な課題であるからこそ、万博が行われる大阪市内に生物多様性のホットスポットが「行政の意志により」護られている場所がある、となるならば、万博と大阪、そして日本全体にとっても大きなプラスイメージになるでしょう。
 生物多様性保全は未来を見据えての万博を行う大阪府政・市政においても根幹ともなるべき課題であり、大阪市内に保全されるべき豊かな自然が存在するという事実は、それだけの魅力・資産が大阪市内に存在するということのアピールともなります。夢洲における自然環境の保全を強く要望するものです。

 以上の趣旨から、次の点についてご回答ください。

1.大阪府、大阪市は夢洲が生物多様性ホットスポットとしての重要性を認識しておられるでしょうか

2.  万博が誘致された場合の、生きもの保全対策は、どのように考えられているのでしょうか? 

回答は、2018年12月20日までに、下記へお願いします。

   公益社団法人 大阪自然環境保全協会
    住所 〒530-0041 大阪市北区天神橋1-19-13 ハイム天神橋202
    電話 06-6242-8720  FAX 06-6881-8103
    Email (略)

大阪府より メールで回答 2018.12.26

1.大阪府、大阪市は夢洲が生物多様性ホットスポットとしての重要性を認識しておられるでしょうか

本府では、府内に生息・生育する野生動植物の現状を府民の方々と共有し、豊かな自然環境の保全や野生動植物保護の基礎資料とするため、平成26年3月に「大阪府レッドリスト2014」を作成しました。このレッドリストを踏まえ、特に希少な野生動植物が生息・生育し、種の多様性が高い地域を「生物多様性ホットスポット」として選定しております。夢洲につきましては、南港野鳥園と一体に生物多様性ホットスポットとして選定しており、その重要性については認識しております。(大阪府 環境農林水産部みどり推進室 みどり企画課 総務・自然環境グループより回答)

2.万博が誘致された場合の、生きもの保全対策は、どのように考えられているのでしょうか?

万博会場整備事業は、大阪市の条例に基づき環境アセスメントの対象となる事業であり、この手続きの中で動物を含め必要な調査を行い、影響を抑制するための対策を検討し、専門家の意見を含めた審査を受けることになると考えております。環境アセスメント手続きの主体は新たに設立される博覧会協会となりますが、この協会において手続きが適切に行われるよう、府としても連携してまいります。(大阪府 政策企画部 万博誘致推進室より回答)

大阪市より 添付ファイルで回答

回答書PDFファイル

1.大阪府、大阪市は夢洲が生物多様性ホットスポットとしての重要性を認識しておられるでしょうか

大阪府内の生物多様性ホットスポットは、大阪府が作成した「大阪府レッドリスト 2014」において、生物多様性の保全上特に重要な場所として選定されており、大阪市では、5箇所が取り上げられています。
夢洲については、5箇所のうちの1箇所に含まれており、西側に広大な裸地や草地、水たまりが広がっており、大阪湾有数の水鳥の生息地になっている旨が記載されています。
大阪市としても、生物多様性の保全の重要性を認識しており、大阪府と情報を共有し、 連携して市内の生物多様性の保全に向けた取組みを進めていきます。 (大阪市 環境局 環境施策部 環境施策課より回答)

2.万博が誘致された場合の、生きもの保全対策は、どのように考えられているのでしょうか?

2025 年国際博覧会は、平成 30 年 11 月 23 日にフランス・パリで開催された BIE(国 際博覧会事務局)総会で、大阪・関西で開催されることが決まりました。
ご指摘の生きもの保全対策についても、平成 29 年 9 月、国が BIE へ提出しましたビッド・ドシエ(立候補申請文書)によると、環境と調和した博覧会会場を形成することとなっています。
また、国連が 2030 年までに達成すべき目標を定めた持続可能な開発目標(SDGs)においても生きもの保全の重要性が掲げられており、さらに大阪府が作成した「大阪府レ ッドリスト 2014」では、生物多様性の保全上特に重要な場所である「生物多様性ホット スポット」の内、夢洲は広域的な観点で見ても特に重要な場所として選定されています。
博覧会の会場については、国、大阪府、経済界とで開催主体である法人を設立し、その法人において整備を進めていくことになりますが、大阪市条例に基づき環境アセスメントの対象となる事業であり、この手続きの中で動物を含め必要な調査を行い、影響があれば抑制するための対策を検討します。(大阪市 経済戦略局 万博誘致推進室より回答)

ネイチャーおおさか 公益社団法人 大阪自然環境保全協会

ネイチャーおおさかは、身近な自然を愛し、これを守り育てたいと願う市民が運営している公益社団法人の自然保護団体です。お電話でのお問い合わせはこちら 06-6242-8720

  • お問い合わせ


  • Facebookページ
  • 野山のたより
  • 都市と自然